「雑味なしの映画勝負」楽園追放 Expelled from Paradise 映画読みさんの映画レビュー(感想・評価)
雑味なしの映画勝負
公式の無料公開で視聴。
とても面白かった。お気に入りとなった作品。
ノーブランド、
雑味なし、必要最低限の王道のプロット、
雑味なし、必要最低限の人数の王道キャラクターたち、
上質でユーモアのある映像美、
「奇をてらわない要素だけで、ここまで面白い映画体験は作れる」
という一周回った意欲作。
フルCGアニメにもかかわらず、
CGが無かった頃の脚本勝負の実写名作映画の文脈を感じる。
料理で言ったら生野菜スティック、
飲み物で言ったらストレートティー、
そういう飽きの来ない気軽な距離感のおいしさ。
キャラクタービジネス全盛期の昨今において、
あえてそういう売りを全部捨てて「映画勝負」しているのは
逆説的に狂気である。
正直、10年代からの虚淵先生は
「とりあえず(ライトユーザーが考える)残酷展開を入れる人」
になってしまったと感じていたが、
それは話題性のある作品しか観ていなかったためと反省。
どちらが作家・脚本家としての地力かと言えば完全にこちらだろう。
タイトルだけは少しイマイチ。
テーマはその通りなのだが、観たくなる表題かと言えば突き放す表題。
アンジェラが思いの他好きになれるエリートポンコツ全開なので、
もう少し心理的に近そうな表題の方が観たと思う。
というか、そういうタイトルであれば観ていたし、劇場公開時に観ておけばよかった。
…とはいえ、公式の劇場公開時のグッズ展開は、
うどん抱き枕や尻マウスパッド等お下品系エログッズばかりという突き抜けようだったので、
内容との乖離が激しすぎ、PR戦略に完全な誤りがあったと思う。
迷走期のニトロの光と影を背負う作品か。
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