「是非、原作を」思い出のマーニー こうめいさんの映画レビュー(感想・評価)
是非、原作を
この作品のポイントは、ずばり里子の気持ちです。
里親、里子というものは、今の日本では数が少なく、あまり知られなくなっています。里親制度とは、何らかの事情で家庭で養育できない子供を、児童養護施設ではなく家庭的環境で養育するものです。親子となって扶養義務の生じる養子とは違い、里親は、親に代わって養育を請け負うものであるので、里親には里親手当が支給されます。実際の制度は、国によって違いますし、時代によっても違います。
この話の前提にあるのが里親制度です。里子にとって、里親は、愛情でつながっているのかお金でつながっているのかという悩ましさがあります。
主人公は、里親の事情を知ることで、里親との関わりが難しくなり、親元を離れて暮らすことで、自分一人の世界に没入していきます。
原作の話の筋は、良くできた面白いものであり、感性豊かな子供の頃に読んだ方は、後々まで印象に残っているようです。本作品も主人公の屈折した気持ちや、マーニーとの交流をていねいに表現しています。原作ファンの方にも満足な出来ではないでしょうか。
しかし、残念なのは、最後の種明かしの部分です。原作では新しく友達となった子供達との交流の中でていねいに謎解きと併せて主人公の気持ちが解きほぐされていきます。本作品では、時間の関係からかストーリーを短くまとめており、十分な納得感が得られません。私の場合は、後から原作を読み、この話の素晴らしさを理解することができました。そして、もう一度改めて本作品を見たいと思いました。
そこで、本作品を見るにあたっては、是非、原作を読むことを提案します。本作品を十分に味わうためには、必要と思います。
コメントする