「ジブリ 新時代へ」思い出のマーニー REDSTARさんの映画レビュー(感想・評価)
ジブリ 新時代へ
絵がとにかく美しい。
現実世界をファンタジーにすることができるのはさすがジブリ作品だ。
なにより包みこまれるような愛と暖かさを感じた。
随所に今までのジブリへのオマージュを散りばめながら、新しい形を示した作品。
車に揺られながら新しい土地に向かうシーンは千と千尋。
机には黒猫のジジ。
家はトトロで出てくるサツキとメイの家。
後半で出てくる女の子との構図はサツキとメイ。
などなど・・
過去の作品へのオマージュが次々に登場する。
だが、今までのように女の子が男の子との出会いを通じて、変わっていくあの定番はない。
自分の殻に閉じこもっていた絵描きの女の子がマーニーとの出会いを通じて、自分を見つけていく。
夢とうつつがじんわりと行ったり来たりしてふんわりとした浅田次郎のような世界観だった。
深読みすれば、絵描きの女の子が米林監督。
それを抱きしめて、引っ張ってきたのが、宮崎駿さんをはじめとした今までのジブリメンバー。
ジブリの宮崎駿さんという大きい存在に対して、どうしても卑屈になりがちだった監督さんが新たな自分(新たなジブリ)をスタートしていくというメッセージが含まれていたのではないか?
その新たな自分とは、依存しない強い女の子だろうか?
今まで、後進を育成できずに、置いてけぼりだった後輩たちに対して、「許してほしい」謝るマーニー。
女の子はそれを笑顔で許しながら、前へと進む。
最初に示したオマージュを踏襲しつつも、男の子と女の子の活劇という定番や現実を描かないという定番を外した今作品。
しっかりマーニーという遺伝子を抱きしめつつも、自らの歩で歩んでいくんだ!
という意志を映画から感じた。
今までのジブリとどうしても比較されてしまうが、これはこれでアリだ。
ぜひこれからも新たなジブリの可能性を示してほしい。
次回作が楽しみだ。