「パガニーニよりもギャレット!」パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト ルナルナさんの映画レビュー(感想・評価)
パガニーニよりもギャレット!
芸術家の伝記物は、大好物のジャンルである。どうしても大音響で観たくて、時間とお金をさいて出かけた。
19世紀の天才バイオリニスト、ニコロ・パガニーニを演じるのは、現代の天才、デイヴィッド・ギャレット。とにかく、その演奏が凄い!超絶技巧の早弾きはもちろん、弦が切れても一本だけで演奏したり、バイオリンをギターのように爪弾くなど、見応え充分。ヒロイン、シャーロットの歌も良い。脇を固める役者のキャラクター設定、演技、時代考証も優れている。が、如何せん、シナリオと演出が浅く、物語としては二流。
酒と女とギャンブルに溺れて破滅していく様は『リバティーン』のそれの方が圧巻であったし、天才が苦悩する様は『アマデウス』のそれに及ばず。さらに、純愛を軸にするならたとえ結ばれなくても『チキンとプラム』のように一生胸に秘め続けて欲しかった!しかも、シャーロットの歌を後半でもフルに出すのは蛇足。一度切りの方が、感動的だろう。
題材、テーマが良いだけに、もっと上手く描けば感動作となり得ただけに残念だ。
結果、パガニーニその人ではなく、むしろデイヴィッド・ギャレットに関心を抱いた作品となった。
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