「パガニーニはファウスト、ウルバーニはメフィスト、そしてシャーロットは(死なないで済む)グレートヒェン」パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト talismanさんの映画レビュー(感想・評価)
パガニーニはファウスト、ウルバーニはメフィスト、そしてシャーロットは(死なないで済む)グレートヒェン
パガニーニは勿論、シューベルトの音楽がとても上手に使われていた。本当の悪魔はウルバーニで、パガニーニではない。ウルバーニのテーマ曲はシューベルトの「魔王」。そしてシャーロットが冒頭、ピアノを弾きながらドイツ語で歌うのがシューベルトの「糸を紡ぐグレートヒェン」。この歌詞はゲーテの『ファウスト』第1部から。糸を紡ぎながらグレートヒェンはファウストに思いを寄せる。メフィストはファウストに召使いとして奴隷として仕える、ウルバーニとパガニーニとの関係と同様。ファウストを堕落させてみせましょうと神に請け合うのはメフィスト。ウルバーニもそうしたのか?ロンドンでの初の演奏会では観客が今か今かと大騒ぎ。そこに客席の後ろから演奏しつつ入ってくるパガニーニ、照明が素晴らしい。舞台で演奏する彼と思われる影が紗のバックドロップに映るが、それは「演出」として後ろで被り物をしていたウルバーニの影=悪魔のシルエット!この映画がドイツとオーストリアで作られた意味が生きている。
イタリア大活躍はヴァイオリン!パガニーニがコンマスのヴァイオリンが「グゥアルネリ」である事に気づき「ちょっといいか?」と借りて軽く弾き、そのまんま持っていってしまう箇所は笑いつつ感動した。音色を聞くだけでわかるのか~!イタリアはCremonaのヴァイオリン職人ファミリー達、ストラディバリ、グゥアルネリにアマーティ!パガニーニもDavid Garrettも凄い!Garrettの目はエモーショナルで美しい。
この作品が2011年に亡くなった映画監督ケン・ラッセルに捧げられていることに心打たれた。小説家(オスカー・ワイルド、シェリー)や作曲家(マーラー)などのアーティストを、ゴシックに、強い色彩で、或いは自然の中で、毒入りで描いたケン・ラッセル。パガニーニとラッセルへのGarrettの心からの敬愛表現だろうか。
パガニーニ作曲のイタリア語アリア "Io ti penso amore"は、シャーロット役の女優でなく、アメリカ人歌手のNicole Scherzingerが歌っている。美しいコロラトゥーラ。シャーロット役の女優は、真面目で品よく可愛らしく、うなじと肩の線、背中のカーブが美しく適役だった。
いまだ興奮さめやらず!
おまけ
Helmutはすぐにはわからなかった。額の形で彼かな?と思った程度。彼のテーブルに三名の若く見目麗しい男性が居て、それも手がかりの一つになった。
talismanさん
レビューを上げる前から大興奮のコメント下さり、ありがとうございました。
肩を掴まれて揺すぶりながら聞かされるようなtalismanさんの報告。笑いながら読ませて頂きましたよ。
エンドタイトルを穴が開くほどに見詰めての「大発見」!女探偵の登場ですねぇ(笑)
デビッド・ギャレットは画像を拝ませてもらいました。タメ息。天は二物を与えた!
カッコ良すぎです。
でも僕の好みはあの世代ですとジョシュア・ベルくんのほうでして、本作品のデビッド・ギャレットがプレスリーならば、ジョシュア・ベルは優等生パット・ブーンと言ったところですかね(笑)
ちなみに二人とも楽器はストラディバリです。
またよろしくお願いします
🖐️😆