劇場公開日 2014年5月3日

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「HAPPY」シンプル・シモン ロロ・トマシさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0HAPPY

2014年9月12日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

幸せ

愛らしい。何て愛らしい映画なんだろうか!
もうね、なんでしょうね。なんだろう、全部大好きです。全部大好き。登場キャラクター達も小物も家具もスウェーデンの町並みもドラム缶ロケットも宇宙空間も!全部!全部が愛おしい!
ここまで肯定感に満ち溢れた映画もないです。主人公のシモン君はアスペルガー症候群なんですけども、そこが話の軸になってまして、アスペルガーの彼らには世界がこんな風に見えているんだよ、ていう描写を、丁寧に映像化してくれてるんですね。で、その内容を一切悲観的には見せず、どこまでもコミカルに表現してるんです。もうそこが素敵なんです。
まあ、というか、そもそも悲劇にする必要もなくて。彼らからすれば彼らの生きる世界が普通なワケですから。彼らのパーフェクトな世界。日常。そこに健常者との日常が重なった時に生じるカルチャーギャップが、それがゲラゲラ笑えちゃうという。これが全くイヤミがなくて。だってそうなんだから仕方がないでしょ、て。だけど笑えちゃう。という。

ストーリーは、シモン君が大好きな兄貴サムの恋人候補探しをするんですけど、これが兄貴に頼まれてもないのに奔走するという内容でして、サムには有難迷惑で。でもこれだってシモン君ルールに則ってるワケなんですよ。兄貴の思考はお構いなし!ただ兄貴に幸せになってほしい!兄貴の幸せは俺の幸せ!そしてそして。そして出逢ってしまった兄貴の運命の人がイェニファーという名の奔放に生きる女性で。こっから運命の歯車が回り始めちゃったシモン君。今迄は運命なんて信じていなかったのに、歯車グルグル回り出す。もうイレギュラーの連続で。

さあシモン君どうする?
兄貴のサムはどう動く?
運命の女性イェニファーはサムを選ぶのか?

からの。かーらーの。あのラストですよね。
もうね、卑怯ですよ。散々笑わせといて、最後そう来ますか!?と。泣きますよねそりゃ。嬉し泣きですよ。最高にハッピーな嬉し泣きですよ。あー参ったなー!もう!と。泣くでしょそりゃ。だって嬉しいんだもん。シモン君もサムもイェニファーも。そして観客の我々も。嬉しいんだもの。

本当にありがとう、て言いたいです、シモン君に。
いやあ、これだから映画鑑賞はやめられないなあ。

ロロ・トマシ