劇場公開日 2014年11月29日

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「原作とは別物だが頑張っている」寄生獣 えのきちさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0原作とは別物だが頑張っている

2014年11月29日
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『寄生獣』を観賞。
言わずと知れた岩明均原作の同名漫画の実写映画化作品であり、監督は今やCG・VFXの第一人者、山崎貴。

結論から言えばかなり頑張っている。
原作漫画は紛れもなく傑作であり、原作ファンからすれば、いずれのセリフやエピソードも、改編を加えた時点でそれはもう寄生獣でななくなってしまう。
そんな厳しい環境下で実写化(と言ってもほとんどCGなのだが)を試みるのだから勇気と言うよりは無謀なチャレンジと言える。

時間の制約は厳しいが数々の設定を変更する事により、端折ってはいるものの原作未読でもついていくことができるであろう。
大幅な設定変更は意外にも違和感なく受け入れられる。しかしキャラクターの特性、特にミギーに関しては違和感が最後まで払拭できなかった。原作のミギーは造形含め常にシュールな雰囲気を醸し出すのだが今作の彼は何だか可愛らしいのだ。これは声を勤める阿部サダヲの影響が色濃く出ている為。
感情を持たず知識と論理思考のみで行動するはずのミギーは今作では「愉快な仲間」に見えてしまうのだ。

寄生生物もどこか人間よりに感じてしまったり、母親とのエピソードではあり得ない過ちも犯してしまっているなど細かい事は言い出したらキリがない。

しかし、そもそも原作の映画化である以上、いくら頑張っても原作を超える事など不可能なのだから、これだけの映像を見せてくれれば概ね満足である。
まだ前編なので、後編を観なければ全体評価はできないが、後編を期待したくなる作品となっている事は間違いない。
4月25日公開予定の後編にも期待したい。

ちなみに今作の年齢制限は12PGなので、小学生でも親が同意すれば観ることができるのだが、それにしては首や胴体が切断されるなど原作よりはソフトとは言え結構グロいシーンが多い。せめて15Rにすべきだと感じた。

あと、エンドロール終了後に後編の予告が観られるので最後まで席を立たないよう注意してもらいたい。

えのきち