「しずかちゃんとの結婚が目標の薄っぺらいドラえもん」STAND BY ME ドラえもん どらやきさんの映画レビュー(感想・評価)
しずかちゃんとの結婚が目標の薄っぺらいドラえもん
「昔は良かった」という言葉は、年寄りが言うことだという人がいますが、ドラえもんの歴史を知る者としては、この言葉が真っ先に出てきました。
子供ができ、子供がドラえもんを好きになり再びこの映画を鑑賞し思わずレビュー投稿に至ります。
短い時間の中でドラえもんを伝えるには、こういうストーリーにするしかなかったと思いますが。
映画を通して、ストーリーの目標は、最初から最後まで、「しずかちゃんとの結婚」です。
10歳そこらの子が、クラスの人気者と結婚するために道具を使ったり奮闘するんです…ドラえもんはそのためにいるように感じるストーリー。実に薄っぺらい。
しずかちゃんに嫌われるためにスカートを捲ったり虫好かんを飲みますが、その理由は自分がヘマした上、嫌われたいと騒ぎ立てる、被害妄想、自己中で意味不明な展開。
また、のび太のことを、ドラえもんや(結婚前夜の)しずかちゃん父が「人を思いやれる子」と言うわけですが、出来杉を憎んでばかりで、人を思いやるシーンがこの映画で一つも描かれていない。
のび太が何かを成し遂げることも一つも描かれず、結局誰かに助けてもらう。のび太はそういうキャラクター、それでいいのだが、それでしずかちゃんと結婚できるのは…ちょっと無理矢理。
大雪のシーンも「届けこの記憶!」…???と思いました。大人ののび太に助けてもらう、叫んだだけで結局自分では何もしなかった。
せめて、誰かを思いやるシーンや自分で何かを成し遂げるシーンがあり、しずかちゃんがそこに惚れるならいいんですが。
ラストは帰ってきたドラえもんの名シーンが組み込まれる。前述した通り短い時間でドラえもんを最初から伝えるのは難しいのもわかりますが。
しずかちゃんと結婚することがわかり幸せになったから未来へ帰る…うーんやっぱり薄っぺらい。原作では事情がある、ということで未来に帰るんですが、そちらの方が、帰ってきてからも、出来損ないのび太くんと今後もいる理由になるんですね。結婚して幸せになるのだし、それまで一緒にいる設定だったわけなら、ウソ800で帰ってくる意味がなくなる…
これは好みの問題ですが、原作にあるシーソーのシーンもなし、個人的にはあのシーンこそジャイアンとの喧嘩以上に名シーンだと思っています。
映像は楽しいですが、終始この映画の内容を疑問に思いますし、ドラえもんはそんな薄っぺらくないと言いたくなります。大人になりすぎたのでしょうか。
現代の子供がドラえもんを見る分にはいいかも知れません。子供も楽しんでいます。
しかし長きに渡り見てるものとしては、やはり昔のドラえもんはよかった。
しずかちゃんはおしとやかすぎずきつい冗談を言ったり面白かったし、ドラえもんとのび太は二人でジャイアンの悪口を言って本人に聞かれぶっ飛ばされたり、
のび太とドラえもんは本当に友達で仲良しだった。
今のドラえもんは、出来損ないののび太がおっちょこちょいのドラえもん(昔の漫画ではドラえもんはおっちょこちょいのイメージはほぼない、のび太と何かをやって失敗することはあっても。)をいじったり論したりと、面白みがないなぁ〜と思います。
子供が見るので、きっと今後も見続けると思いますが…
子供が大きくなったら、ドラえもん1巻から読んでほしいと思っています。