「観るべき映画」アクト・オブ・キリング 夢見る電気羊さんの映画レビュー(感想・評価)
観るべき映画
こんなドキュメンタリーは見たことない。
虐殺の加害者が当時の殺し方を紹介しつつ再現ドラマを撮影していく過程を追っていく、なんて、こんな映画がよく撮れたものだと思う。
加害者が自慢げに語る過去話も、彼らにとっては罪悪感の裏返しなのだろう。それは彼らも自覚しているのだが、やはりどこか僕らの感覚とは違う。自分のやったことをあそこまで再現しようという気持ちが全く理解できないのだ。彼らはおかしくなっているのである。明らかに。
最後には被害者について、一つ思うところがあるが、どこか自分が神によって裁かれるのでは、という恐怖からきているもので、心からの謝罪のような感覚ではないように感じた。
とはいえ、この映画では、彼ら個人を浮き彫りにしつつも、それだけではなく、過去の、人間の歴史についても語っているように思う。ドイツだって、日本だって、アメリカだって、残虐なことをしてきたのだ。これは普遍的な人間の弱さとして捉えていくべきことであるも思う。そういう意味で全ての人間はこれを見るべきである。
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