「人間の怖さを感じざるを得ない」アクト・オブ・キリング cani tsuyoさんの映画レビュー(感想・評価)
人間の怖さを感じざるを得ない
アクト・オブ・キリングを観てきた。
1965年のインドネシアで共産主義者(と思われる人も含む)100万人が大虐殺された。
驚くべきことに大虐殺した側は今も各界の要人として生きている。
その要人は今も国の英雄扱いをされているのだが、そんな英雄たちに過去の虐殺を映画として撮影させて、その映画を完成させるまでを追ったドキュメンタリーが本作。
虐殺を行った国の英雄たちのほとんどは過去の虐殺に対して反省の色もなく、自信の行為の正当性を疑わない。
それどころか自慢げである。
撮影中は軽くキャッキャしている。
恐ろしいのはそんな残虐非道な行為をした彼らもただの調子のいい奴らで、多分僕の周りにも、あなたの周りにもいるような人なのだ。
(主人公は最終的に良心の呵責があったが、それはこの映画の撮影を経験したからであって、それがなければどうかわからない)
そして被害者は共産主義者ってだけ、もしくは共産主義者って勝手にレッテルを張られてで殺されてるわけで、狂気としか思えない。
しかし、この狂った状況ってのは異国の遠い過去の話ではない。
日本では関東大震災の際に、偏見だけで人が殺されたりしてるし、今のヘイトスピーチの状況だって本作につながりかねない可能性をはらんでいる。
だからこそ僕らはこの事実は知るべきだと思うし、この映画で知った事実はやるせないものだが、撮られたことに感謝すべきだ。
できれば数多くの映画館で公開するとともに、あらゆる観客が観てほしい。
最後に町山智浩氏もいっていたが、この映画のイベントで取材にきたマスコミがこの映画についてふれなかったことは本当にクソだ!恥を知れ!!
コメントする