「様々な思いが交錯しながらも、ゆっくりと復興への道を進んでいるんですね、負けるな東北!」救いたい スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)
様々な思いが交錯しながらも、ゆっくりと復興への道を進んでいるんですね、負けるな東北!
震災後、まだ復興途上の仙台を舞台にした作品だけあって、いろいろと考えさせられた部分も多く、テーマや題材にはとても共感できたのですが、一つの映画の完成度としては、どうなんでしょう・・・いろいろと描きたかったことが多すぎて、詰め込みすぎ&主題が散漫になってしまった印象は否めず、やや惜しい出来の作品になってしまったかなと・・・。
こう言う映画は貶すと人としてどうなのかと疑われてしまいそうでアレなんですけど、グッと感情移入しかけたところでトーンダウンしてしまうようなシーン(祭り関連とか)が多々入ってきたりと、いまいちノレない構成になっていたのが個人的には気になってしまって・・・。
勿論、町が元気になる象徴として祭りを大々的に取り上げることは、復興の観点から見ればとてもいいことなんですけど、映画のテンポは物凄く悪くなってしまい、更には描きたかったことも結局よく分からなくなってしまったような印象を受けたんですよね。
まあメインの部分の、震災を通しての医師として、人としてのあり方みたいなものは、十分伝わってきましたけどね。
地域医療に従事するも、大手の病院で多くの命を救うも、どちらも本当に人としても医師としても素晴らしい、おかげで安心して暮せると思うと、感謝の念しかありません。
会える時間は少なくても、尊敬し合って生きる鈴木京香&三浦友和夫妻の医師としてのあり方には、心揺さぶられるものがありましたよ。
被災地で詐欺行為を繰り返す輩を退治する三浦友和の昭和チックなシーンも、妙にツボでした(笑)
しかし、被災者を食い物にする輩が大勢いる現実には、ホント悲しくなっちゃいますね・・・。
それと麻酔科医の貫地谷しほりのエピソードも、グッと来るものがありました。
麻酔科の立場って、確かにちょっと切ないね・・・自分が手術してもらう機会がある時は、麻酔科医にもしっかりと感謝させていただきます!
中越典子のエピソードも切なかった、震災はいろんなところに爪痕を残したまま、それでも前に進まなくちゃいけないんですね、救う側、救われた側、いろんな想いを乗せて・・・。
話自体には本当にグッと来たんですけど、返す返すも一本の映画へのまとめ加減が何とも勿体無かったなぁ。