「原作ファンには辛い内容かもしれません」聖闘士星矢 LEGEND of SANCTUARY yoskethさんの映画レビュー(感想・評価)
原作ファンには辛い内容かもしれません
アニメにして数十時間もの話を90分にまとめるわけだから、強引な展開やオリジナル設定になることはある程度覚悟してました
それでも押さえるべきポイントってあると思うんです
制作スタッフはきっと何故聖域12宮編がこれほどまでに人気が出たのかを理解出来ていないんじゃないかなと感じました
単にブロンズとゴールドを戦わせておけばいいわけじゃないんです
例えば、聖域12宮編は「サガの乱」とも呼ばれていますが、
原作では「この闘いで最も苦しんだのはサガ本人だったのかもしれない」という台詞まで出るほど、サガの繊細な精神状態を描かなければ意味がないんじゃないかと思います
映画の最後の最後で若干のフォローはありましたが、正義と悪の狭間で苦しむサガの描写はこの映画にはありませんでした
また、そもそも何が正義で何が悪か、「黄金聖闘士=ただの敵」という単純な図式ではなく、それぞれの信じた正義をぶつけあい、闘いの中で色々な事に気付いていく、そんな過程もこの漫画の深みであり黄金聖闘士が青銅聖闘士よりも人気を得た理由の1つだと思います
Ωもそうでしたが、そういったキャラそれぞれの抱く思いや苦しみを描かずに、ただ表面的に原作をなぞっただけという印象が強いです
他にも、この映画なら12宮自体必要なかったんじゃないかと思います
それぞれの宮を守護する筈の黄金聖闘士が、自分の宮を離れすぎ!
まともに自分の宮で闘ったのはムウ、アルデバラン、カニ、アイオリア、カミュくらいじゃないですかね
「教皇の間にたどり着くにためには全部の宮を突破しなければならない」とか最初に説明してたのはどうなったの?と・・・
双児宮は何の説明もなく素通りする描写すらなくスルーで巨蟹宮にたどり着いてたし・・・
人馬宮以降の宮は通過する前にサガが壊しちゃったし・・
(せっかく氷河が相打ちでカミュ倒して道を作っても、誰もそこを通らなかったという悲しい事実・・・)
12時間以内に辿り着かないといけないという設定自体がなかったので、火時計も特に意味がなく(てか教皇しか見てなかった?)
間に合うかどうか!みたいな緊張感もありませんでした
まあそもそもこの映画の12宮は、というかサンクチュアリ自体がやたら近未来的な都市で、神話の時代から続く威厳や荘厳な雰囲気はなく、まだマルスの作った偽12宮の方がマシでした
キャラデザはタイバニの人らしいですが、神話の時代から継承される聖衣が、やたら機械的でLED内蔵のデザインってのは微妙でした・・・
まあ他にも言いたい事は山ほどありますが、終始中途半端感が満載で見てるのが辛かったです
これから見に行く人で原作やアニメからのファンの人は、その辺Ω以上の覚悟をして見た方がいいかもしれません。。。