「覚悟。」イーダ ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
覚悟。
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内容が重いので体調の悪い時は観ない方がいいと思う作品だが、
まずスクリーンサイズとモノクロ画面の懐かしさに圧倒される。
常に人物が下半分に位置して頭上に大きな空白が施されている。
修道女となる前に唯一の親族である叔母に会いに行ったアンナは
叔母から自分がユダヤ人で本名がイーダであることを聞かされる。
やがてイーダの両親の死の経緯を辿るべく二人で旅に出るのだが、
観る前に過去にポーランドではどんな事件が起きていたかという
歴史を知っておくと理解し易いかもしれない。虐殺という事実が
ユダヤ人とポーランド人に与えた犠牲と被害・加害者意識は重い。
イーダと叔母がそれぞれにどう向き合い受け容れるのかを描くが、
静かな画面に流れるジャズが心地良くて(バッハやコルトレーン)
一瞬俗な気分も味わえる。絶望から人間を救うのは果たして神か、
それとも自分自身か。束の間の恋愛を体験したイーダの視線から
揺るがない覚悟のようなものを感じ取ることができた自分だった。
(かなり静謐な80分。髪(神)をほどいたイーダの美しさに息を呑む)
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