「誰のための医療か。」ダラス・バイヤーズクラブ mg599さんの映画レビュー(感想・評価)
誰のための医療か。
マシュー・マコノヒーの入魂の演技がしみる傑作である。
電気技師にしてロデオなどもやるカウボーイ ロンは、HIVに感染しているとして余命30日を宣告される。
HIVには無軌道な暮らしと対になっているようなところがあって、まあ、それは多分に偏見ではあるのだが、本作のロンも真面目というのとは少し違う。
しかし、メキシコで、アメリカでは認可されていない薬で病状が回復するや、その薬で一儲けしようと画策する。
人の命よりも法律のほうが重い法治国家のありように警鐘を鳴らす。
ましてやそこに、製薬会社や医師の思惑がからむと誰のための医療かわからなくなる。
ジャン・マルク=バレ監督の演出は、ずっとロンにつき添うような格好になっていて、政府に対して物申す姿勢には襟を正したくなる。
薬の認可事業は何よりも迅速であってほしい。
だが、功名を焦るとなんとか細胞の論文のようになってしまう。
難しいものだ。
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