「「死」ではなく「生きる」がテーマ」ダラス・バイヤーズクラブ マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)
「死」ではなく「生きる」がテーマ
エイズ患者を演じるため21キロにおよぶ減量を達成して役作りに挑んだマシュー・マコノヒーばかりが話題になっているが、脇を固める役者たちもなかなかのものだ。とくに、トランスジェンダーのレイヨンを演じたジャレッド・レトがいい。服のセンスがいいうえに着こなしも上手い。顔も化粧映えする。
実録物はただ泣ける話とか感動する話を映像化しただけのものが多いなか、まだ誰もがエイズに対する知識に欠け偏見を持っていた時代に、カウボーイ魂を拠り所とする男臭いロンが、最も毛嫌いしていたタイプのレイヨンと絆を深めていく過程は格別だ。
大手医薬品会社の医薬品が十分な治験が行われないまま簡単に認可になる反面、ほとんど副作用が認められないサプリメントがなかなか認可されない矛盾に真っ向から勝負を挑み、1ヶ月と宣言された余命をどんどん更新していく姿が頼もしい。
女医のイブや警察官のタッカーなど、ロンの生きる逞しさに共感し応援する仲間たちの存在も心強く、実に後味のいい作品だ。
それは「死」を扱いながら「生きる」をテーマにした結果だ。
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