「子供らしく→大人っぽい に成長する過程」インサイド・ヘッド Maple Mammaさんの映画レビュー(感想・評価)
子供らしく→大人っぽい に成長する過程
もう子供ではないけど、大人でもない、中間の月齢の子の脳内を表現している作品。
ヨロコビが仕切り屋で暑苦しい。まるでイジメ首謀者。
ムカムカの立ち位置はイカリがいるからぶれてる。
カナシミは自分の行動の目的がなにかわからずに動いているので少し余計なこともしてしまう。
脳内の記憶の処理を説明するために、感情が探検する構成にし、探検の間その感情なしで司令塔がピンチに陥る状況が自然になるように、ライリー一家の引っ越しのタイミングを設定したのがとてもうまいなと思った。
でも、そういえば製作総指揮ジョン・ラセターって聞いて納得。トイストーリーも引っ越し設定だった。
ライリーの中でヨロコビだけが幅をきかせているのは、子供だからと言うよりも、ひとりっこで両親の意識が自分だけに集中していることもあり、本来の感情を抑えて、親が望む子供の姿らしく振舞うことを覚えてしまっているからではないか。
子供によっては、カナシミやイカリが脳内で実権を握っている子もいると思う。
全ての感情がバランスよく作用している子供は10歳では珍しく、でも皆それを学びゆく月齢。
思春期に差し掛かる中で、第2次反抗期がやってきて、ライリーの脳内が感情の機微に目を向けられるようになったり、親に遠慮せず感情表現をしたり、親から自立を試みていくようになる。
その過程で、子供の頃の妄想の友達ビンボンを忘れていったり、長期記憶に仕舞われる思い出や忘れる記憶が出てくる。
最終的に、ビンボンが身を呈して助けてくれてヨロコビは再び司令塔に戻れる。
そして、記憶の中にカナシミもあることで幸せが引き立ち、より一層喜びとして感じられることをヨロコビは学ぶ。
ちょうど、引っ越しのタイミングによる環境変化と、ライリーの生理学的な成長が重なった事で、脳内司令塔はパニックに陥りつつも、最終的に感情のバランスが他の子より取れて、心身が健全な成長を遂げた事がわかるのが良かった。
カナシミは記憶の処理のテキストをしっかり勉強していたけど、その声に耳を傾けないヨロコビ。
悲観的な時ほど備えとして積極的に学び、楽観的な時ほど注意深くなかったりするが、でもテキストを学ぶ役目はビビリがする方が良かったなと思った。