「何気に親子共演。」幕末高校生 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
何気に親子共演。
高校教師と生徒が幕末の過去へタイムスリップしてしまうという、
あまり目新しい題材でもないな、と思ったら原案が眉村卓だった(爆)
一緒に観た友人は「何か、とっちらかった話だねぇ~」と、感想を
述べていたけど^^;確かにその印象は拭えない。SFマニアにとっては
は?ナニこの話?てなもんだろうと思う。どちらかというと
勝海舟の功績(そこは実話だし)や、彼の人となりを学べるのに加えて、
これからを生きる学生達に向け、未来エールを送るような作品だった。
しかし石原さとみが先生とは…^^;思わず生徒かと思った(何歳だっけ)
生徒役の子たちと大して歳が離れていないんじゃないか?と思いつつ、
生徒三人と(車と)突然タイムスリップ…お役人に追いかけられている
冒頭映像から話は始まる。全体的にありきたりで、これは勝海舟の
魅力で勝負の話になるかな…?と思ったら、本当にそうだった。
ただ、もちろん冒頭からの彼はエッ?と思うほどの腰ぬけに描かれて、
どうもうだつの上がらない人間にしか見えない。
教師の川辺未香子は、この人が本当に歴史を変える偉人なのかと疑い、
自分や生徒が無事に未来へ戻るためには、何としてでも西郷隆盛との
会談の成功で「無血開城」とならなければいけないことから奔走する。
未来へ帰るために過去で奔走するBTTF(バック・トゥ・ザ・フューチャー)系。
要所要所に本当の歴史も混じっているので、とても分かりやすい。
軽く、楽しく、観られる娯楽活劇なんだけど、意外と生徒たちの方が
時代への順応性が高く、飄々と生きているところに笑いがこぼれる。
決してあの時代がいい時代とはいえないが(変革の時代だし)、現在の
暮らしが必ずしも幸せ!とはいい切れない、複雑な実態を描いている。
そして勝と未香子とのやりとりを通し、人を導く難しさを痛感する。
勝と西郷が蕎麦屋で少ない言葉を交わし、お互いの意志を確認し合う
ところは絶妙。ああいう男の言動は女にはなかなか理解できないもの。
後半からは勝の見せ場が盛り沢山。彼が未来を救うことができるか、
それを見れないまま、未香子らは現代へ戻っていくが…
タイムスリップものの割には、その醍醐味が巧く描かれておらず残念。
(雷を利用しろとは言わないけど^^;発煙筒はなかなか洒落たアイデア)