「秘密を隠しながら心のバランスをはかって生きている」ほとりの朔子 高橋典幸さんの映画レビュー(感想・評価)
秘密を隠しながら心のバランスをはかって生きている
自分の先のことがわからないと主観的に感じることが続くとき。自分にとっての非現実な環境に身をおいて、違う世界で生きる人々や景色に触れて過ごす。ふと、冷静、かつ、客観的に自分自身を見つめなおすきっかけになり得るものなのかもしれない。自分の選択でそうしたとしても、自分の選択ではなくそうなってしまったとしても。
朔子(さくこ)の物語であり、孝史(たかし)の物語だったなあ。
電車、町並み、家、川、海、砂浜、道。。。
乗ってる、歩てる、走る、座っている。。。
話している、聞いている、黙ってる、考えてる。。。
電車の音、蝉の鳴き声、車の通過音、波の音、風の音。
シーンの余韻や間(ま)を味わえる作品。
登場人物の心の揺れ、感情が、佇まいや景色、聞こえてくる生活音の中に身をおいて、ゆっくりと深く沁みてくる。
純粋な18才の若い男女が、それぞれの故郷や家族とは違う環境に身をおきながら出会う人々との触れ合いを通して、人知れず悩み、考える物語。
映画「ほとりの朔子」。
人間って、しら〜と、ドロドロしてますなあ。
そうやって人間は人知れず心のバランスを取りながら生きているんだろうなあ。
秘密を隠しながら。
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