劇場公開日 2014年1月18日

「18歳、ひと夏のほとり」ほとりの朔子 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

3.518歳、ひと夏のほとり

2018年6月1日
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鑑賞方法:DVD/BD

知的

幸せ

萌える

深田晃司監督の作品は『淵に立つ』が初めてだったので、本作は意外な新鮮味があった。
勝手にヘビー級の人間ドラマの監督と思っていたので、こんなに瑞々しい青春ドラマを手掛けていたとは!

何だかイギリスかフランスの映画を観ているようだった。
避暑地を訪れた少女。ひと夏、淡い恋…。
こういうの、イギリスやフランスの映画でよくあるではないか。

避暑地と言っても、大層な所ではない。
小さな町。
でも海辺で、山にも近い。
ちょっと車を走らせると、生活に何の不便も無い町中でもある。
観ながら、いいなぁ~、こんな所でのんびり過ごしてみたいなぁ~、と思った。
ロケ地が気になり、エンドロールで確認してみたら、千葉のようで。

本作はズバリ、二階堂ふみを見る為の映画。
その魅力は惜しみなく。
露出の多い夏服や水着姿は目の保養。
赤いワンピース姿で山の中の河原で足を入れ戯れるシーンは、官能的でもあると同時に神々しさすら感じた。
やはり彼女は本作のようなインディーズ作品でこそ輝く。

話としては、何か大きな出来事など起こったりしない。
大学受験に失敗し、意気消沈の朔子。叔母に連れられ、過ごす2週間。
その様を淡々と描く。
かと言って、癒しやユル系やスローライフムービーではない。

叔母、その知人ら愛情入り交じりの関係。
援助交際。
大人への反発。
仄かに想いを寄せ合った少年と駆け落ちという名のひと晩の家出…。(複雑な境遇や心境の相手役の太賀の好演も光った)

少女少年が過ごしたひと夏のほとり。
少しほろ苦く、心地よいものだった。

少々蛇足に感じてしまったのは、脱原発運動、福島からの避難民である太賀の設定などの3・11の傷痕。
ひょっとして、深田監督が本当に描きたかったのはこちらなんじゃないかと…?
これらだけ妙に本筋から浮き、どうせなら別の作品で真っ正面から挑んで欲しい。

近大