劇場公開日 2014年1月25日

「追悼、テオ・アンゲロプロス。」エレニの帰郷 bashibaさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5追悼、テオ・アンゲロプロス。

2014年1月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

難しい

 新宿バルト9で鑑賞。いつものことながら、エレベーターで9階まで昇り、そこから更にエスカレーターで11階へ、しかも、休憩できる椅子は9階の猫の額ほどのスぺースしかない、という地獄のような映画館です。私が今まで入った封切り館で最悪の映画館です。
 私はこの監督の映画を初期の2作品(これらの作品はDVD化されてはいますが、大々的にロードショー公開はされていない筈です。観客が多く動員できないと配給元が見込んだのでしょうか)を除いて、全て、観ていますが、残念なことに、最近の二作品、「永遠と一日」と「エレ二の旅」は全く、印象に残っていないのです。従って、今から書く短いレビューは、予備知識を全く持たない人間が観た感想であることを御承知おき下さい。
 どうやら、スターリンが死に、ソ連国内のユダヤ人がイスラエルに行くか、それともアメリカに行くかの選択を迫られている状況で物語は動いていくようなのですが、如何せん、人物関係がよく判りません。(冷戦が終結し、21世紀を迎えるところまで話は進みます)ウィレム・デフォーはどうやら、映画監督。イレ―ヌ・ジャコブがエレ二という役名。ブルーノ・ガンツとミシェル・ピコリはどういう役どころなのか、良く判りませんでした。(プログラムが800円もしたので、買いませんでした。尤も、買ったところで、理解できると云う保証はどこにもありませんが・・・)ただ、云えることは、この監督がかつて持っていた黄金律がかなり、色褪せているように思えたということです。独特の長回しもどこか息切れしているように思えました。ブルーノ・ガンツは最後、河に両手を広げて飛び込みます。最後の場面は雪の降るブランデンブルグ門を背景にミシェル・ピコリと女の子(何と云う役者なのか不明です)が画面に向かって歩いて来るところでこの映画は終わります。なんとも穴だらけのレビューになってしまいましたが、将来、お金が貯まったら、「エレ二の旅」と「エレ二の帰郷」のDVDを購入して、じっくりと見直したいと考えています。
 尚、使用されている言語は殆どが英語かロシア語で、ギリシア語は全く、使われていなかったように思えました。字幕担当はいつもの池澤夏樹です。
 午前10時20分の回を鑑賞しましたが、客の入りは6割程度、殆どが、50代以上と思われる人で、10代、20代の観客は殆ど、いませんでした。今の若い人は、このギリシアの監督のことをどう考えているのでしょうか。
 大学生のとき、下高井戸の名画座で「旅芸人の記録」を観ました。私にとっての最初のアンゲロプロス体験でした。そのとき受けた衝撃は未だに頭に残っています。
 それにしても、惜しい人を亡くしました。現代ヨーロッパの最大の知性が消えてしまったのです。

bashiba