陽なたのアオシグレのレビュー・感想・評価
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一点豪華主義の見事な短編映画
アニメーションの醍醐味はやはり動きだが、この短編映画はまさにその醍醐味に自覚的だ。18分の短い時間でダイナミックなシーンの一点突破に活路を見出した。短編映画だからこそ許されるやり方だろう。
物語はいたってシンプル。小学生男子が好きな女の子と仲良くなれたが、女の子が転校してしまう。想いを告げる最後のチャンスの転校日に少年は少女を追いかける。
この追いかけるシーンを幻想と現実を交えて描いているのだが、このシーンのアニメーションが素晴らしい。むしろ他のシーンはかなり省エネで作画枚数を減らしている。
走る電車を追いかける少年に鳥が近づき少年を乗せて飛翔する、電車も空を飛び、大空を駆け抜けていく。わずか数分間のファンタジックシーンだが、アニメーションのカタルシスを存分に詰め込んでいて、素晴らしいセンスを感じさせてくれる。
スピッツの楽曲もシーンを大いに盛り上げてくれる。短い映画だが、大きな感動をくれる作品だ。
ひな太の妄想と映画ジョーカーのアーサーの妄想との違い
性的なことに興味を持ち始める年齢の主人公ひな太の妄想が微笑ましく感じる。ひな太は絵を書くのが好きな少年、シグレは鳥の世話が好きな少女である。ひな太は同じクラスのシグレに一方的に興味があり片思いをしている。授業中にもかかわらずシグレについてよく妄想をしている。ある日シグレが転校することになる。別れ惜しい気持ちのひな太は鳥の絵を書いてシグレに渡そうと決意する。ひな太の妄想は鳥の絵を介してシグレの心に良い影響を与える。
この作品を見て私はジョーカー(2019年の映画)を思い出した。映画ジョーカーの主人公アーサーはマンションの同じ階に住むシングルマザーの女性に片思いをしておりよく妄想にふけっている。アーサーは妄想のなかで自分が目指しているコメディアンになって女性を笑わせている。現実世界ではすごく不幸なアーサーはこの女性と付き合っているという妄想によって人間性を保っていたのだがこの妄想が現実ではないと気が付いた瞬間アーサーの人間性は崩壊し暴力の妄想が心を支配し怪人ジョーカーに生まれ変わった。
この作品の主人公ひな太はクラスでいつもひとりなのできっと人間関係などうまくいかず悩みをかかえていると思う。ひな太はシグレについての妄想のおかげで不登校や問題児にならず人間性を保っていると思う。妄想は人間性を保つのに役立つ。私にはひな太とアーサーが同じに見える。だがひな太とアーサーの物語の結末は真逆だった。ひな太の妄想は絵を介してシグレの心に良い影響を与えた。アーサーの妄想は制御不能になりコメディと銃を介して世界に悪い影響を与えた。
結論:妄想は人間性を保つのに役立つが現実世界にもさまざまに影響を与える。
※人間性の本来の意味は「人間が生まれながらに持つ本質や性質、倫理観、感情、思考、行動などが複合的に形成される概念」ですが、私はここでは自己同一性や自分に対する誇りや他人を思いやれるほどの余裕がある状態を人間性だと思いこの言葉を使っています。
いつか抜け出して飛び出したい
空も飛べるはず
監督と脚本は『雨を告げる漂流団地』の石田祐康
『ペンギンハイウェイ』も監督は石田祐康
あらすじ
内気な男の子日向はクラスメートの時雨に恋をした
時雨は日向に好意を抱くが日向は告白できず仕舞い
そんなある日に時雨は転校することに
まずタイトルが良い
スピッツの曲が流れてからの幻想世界好き
ニルスのように白鳥の背中に乗って空を飛び電車もウルトラQの最終回の如く空を飛ぶ
みんなみんな空を浮く
日向少年の妄想か
全て石田祐康の世界
大好き
不可抗力とはいえ女の子のスカートの中に頭を突っ込むのはいかがなものかと
日向少年は石田祐康監督の少年時代を投影したキャラクターなのか
それは少年時代からの石田少年の願望か
女子のスカートの中に頭を突っ込んだまま職員室に連れて行かれた中学時代のヒゲゴジラは教師たちに体罰を受けボコボコにされた
作者が違うとここまで違うのか
エンドロールのあとに続きあり
アニメの線に黒以外を使用して、スフマートの様な効果を出している。
CGとアニメをうまく使っていると思う。アニメの線に黒以外を使用して、スフマートの様な効果を出している。
電車を追いかけるシーンや動物園の廃墟の様な所に鳥たちが現れるシーンは最近別のアニメで見た事がある。こちらの作品は2013年なので、良かったと思う。
現実を大事にして、ファンタジーを描いている所に感動した。
心がキュッとなります
999。
空想の中から溢れ出る少年の熱い恋心
短編なのに感動
テレビでノーカットがやっていたので鑑賞。
絵とかはジブリだけど、ジブリとはちょっと違うアニメ。
ディズニーの短編に負けず劣らずのストーリーが良く、心地よい感動と心地よい余韻があります。
好きな子との突然の別れということを切なく悲しく終わるのではなく、清々しく何かに負けない強さを疾走感ある絵で見せる演出と音楽にグッとさせられ、思い出として残るという爽やかな終わり方が素敵。
きっと、男の子も最後の彼女と同じ気持ちと良い意味での恥ずかしさを思い出してるんだろうな…
とにかく素敵な短編アニメ。
アニメ『TOLOVEる』的な描写はちょっといらなく感じたけど、スタジオ地図以外にもスタジオコロリドと監督のこれからに期待です。
ポスト、ジブリの誕生か?
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