「無意識という名の腐海」風の谷のナウシカ かがみさんの映画レビュー(感想・評価)
無意識という名の腐海
10年ぶりくらいに観た。ぬるぬる動く王蟲や巨神兵の作画は今もって素晴らしい。
巨神兵を使って腐海を焼きはらおうとするクシャナに対してナウシカは腐海との共生を望む。果たして腐海の正体は、人類により汚染された大地を再生させる浄化装置であった。
族長である父親によって王蟲の幼生を取り上げられるナウシカの「原光景」は精神分析的な意味での「去勢」を想起する。すなわち、意識と無意識の隔絶である。
我々の心の中にも無意識という名の腐海が存在する。無意識は時として様々な心の病を生み出す孵卵器となる。けれども、そこで重要なのは無意識の闇に理性の光を持って抗うだけでなく、無意識の闇と共存することで、その中にある豊穣な可能性を見出していく事である。本作はそういう寓話のようにも思えた。
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