セッションズのレビュー・感想・評価
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複数形の双方向形だ The sessions.
障がい者の性、
そして高齢者の性。
近年ようやく表立ってその存在が明らかになってきている。
でも
どちらも独特の興味をもって覗かれる“隠されていた世界”であるし、
薄々に気づいてはいても、声を潜めて語られるべきタブーの世界だったかもしれない。
ところがこの映画、
そんな“異常性”への興味から覗き見しようとしていた者に不思議な変化をもたらす良作だ。
見終わってみて「セラピーを受けていたのは他ならぬ私自身だった」と気付かせてくれる、人肌のあたたかで穏やかな映画なのだ。
体のふれあいは、イコール、心のふれあいと不可分離。一対のものなのだと、改めて僕らにわからせてくれる作品だと思う。
* * * * *
立っている人間からの視線と、寝ている人間が見ている景色の汲み取り方も丁寧ですね、
助演者たちがとてもいいから、物語に厚みが出ています。
オススメです。
日本語吹替えで鑑賞しました。詩人の物語をリスペクトして、会話と詩作の翻訳には細心の注意がなされています。
オススメです。
5年間、脳性マヒの青年の《24時間全介護》をチームを組んで行った 僕きりんからのオススメです。
一見社会派映画だが・・
実はこの映画はまぎれもない宗教映画。こう書くとますます敬遠されがちではあるが‥(笑)
主人公をマークという名の詩人であるというかなり特殊な設定(4大福音書作家マルコへのオマージュ)、敬虔なカソリックのクリスチャンという点で最大の理解者が神父である点・・(なぜカソリックか?)、セックスセラピストが夫の哲学者に説得されてユダヤ教に改宗する点(プラグマティズムやユング派サイコアナリストへのオマージュ)、アメリカのマジョリティであるプロテスタント系の社会ではおそらく生きている間に主人公が3人の女性から愛される経験を得る事は難しかったと思います。最後まで支えたボランティアが中国系、最初の好意を持ってくれた女性がラテン系、などアメリカのマイノリティが総出演で主人公の人間回帰を支える事となる。アメリカのリアルは背景にある民族と宗教のリアルでもあるということを見事に描き出した映画であった。
ちなみに横たわるマークの裸身はミケランジェロのピエタを想起させることを追記しておく。
18禁のアカデミーノミネート作品!
2019年10月19日
映画 #セッションズ 鑑賞
障害者のsexを題材とした映画だけど、重苦しくなくでもシリアスな内容でした。
セックス・セラピストという職業があることを初めて知りました。日本ではなかなか描けない映画でしょうね。でもこの映画が18禁の理由がよくわかりませんでした。厳しすぎ!
#ヘレン・ハント#ジョン・ホークス#ウィリアム・H・メイシー
セックス・セラピストの誰でも知りたがってるくせにちょっと聞きにくいSEXのすべてについて教えましょう
幼少時から首から下が麻痺するポリオ病という難病を患う詩人マーク・オブライエンの性体験に基づく著書の映画化。
難病に性…題材こそ難しそうだが、童貞サヨナラ物語として見れば、共感必至の作品となっている。(特に男性にとっては)
体は不自由でも性の自由は奪われていない。
なので勿論勃起もするし、あくまで研究として性への興味は尽きない。
でも初体験故、体に触れられただけで感じ、早漏れ、挿入時は声を上げずにはいられず、マニュアル本を読んで衝撃。
笑い事じゃないですよ、男性諸君!
初体験時のオロオロなんて皆同じ筈。
40前後の主人公だが、ウブな青年と変わりない。
ウブさ故、女性に惚れ易い。
序盤の助手に告白するもフラれ、セックス・セラピストに魅了されるが亭主持ち。
相手を好きになり、体を交わったからと言って運命の相手とは限らない。
あくまで相手は仕事。
主人公の恋心をほろ苦く。
それでいて軽やかに。
まるで本当に難病を患っているとしか思えないジョン・ホークスの熱演が圧巻。服を脱いだ時の体とか、リアルを通り越して生々しい。
神父役のウィリアム・H・メイシーも好助演。
そして何と言っても、セックス・セラピスト役のヘレン・ハント。
年齢的にはオバサンだけど、美しいその裸体!
これぞ本当の美魔女。
セックス・セラピストなる職業がある事にも驚き!
ポリオとセックス・サロゲートについて知る
ポリオの後遺症で全身麻痺になった実在の人物、マーク オブライエンのヒューマンドラマ。
障害や性を題材としているが、目を背けたくなるような生々しい描写はそれほどない。
マークのユニークな反応や、周囲の優しい人たち(良き理解者とも言えるのだろうか)の姿に温かい気持ちになった。
ただそれだけの人間ドラマではなく、やはりポリオの後遺症で不自由する姿、セックス・サロゲートの問題点に目を向けるよう優しく突きつけてくる作品。
愛おしい
童貞のコメディかと思ってた。障害をも笑いに変えて笑わせてくれるのかと思ったら、愛に真剣で愛おしい映画だった。ヘレンハントが出て来た時に「これは良いぞ」と確信した。
顔しか動かない49年間の日々はとんでもなく辛く苦しく孤独な日々だと思うけど、それを思わせず何となく楽しく何かに期待して毎日を生きる主人公にこれこそがポジティブな精神なんだなと思った。そしてその精神を支えるのが愛でありセックスなのだなと感じた。映画では女性もマークに恋してたけど、実話が元だと言うことで、童貞で30過ぎて、関係を持って優しい言葉をかけられて勘違いしてんだろうなぁと、男ならではのあるあるでクスッと笑えた。
言葉で君に触れるという詩が優しく力強く自分も漫画を描いてるので、グッと来た。
「セッション」ではない
いいです。恋愛、性、家族、そんな悩みに健常者/障碍者の区別があるはずがない。そんなことは頭でわかっていても、本当の理解はできていない。もちろん障碍者のセックスがメインのテーマだったけれど、その全てを描き、そして周りの人間のこともさりげなく描くことでその「違いのなさ」を上手く表現していたように思う。その点特典に入っていた母と子のシーンがカットされていたのは残念かも。
泣ける 考える 微笑ましい
心とからだは繋がっている。
改めてそう考えさせられた作品。
30代後半になって、未知の性の世界に挑戦する障害者である主人公マーク。
その気持ちを受け止めて支える人たちの、さりけないけれど誠意に満ちた態度がとても良かった。優しい気持ちになれる映画。
sexカウンセラー役のヘレン・ハントが、サラッと服を脱ぎガイドして行くシーンが素敵。かっこいい。マーク役のジョン・ホークスも素晴らしかった。
魂を言葉にのせて
幼少期のポリオが原因で首から上しか動かせないマーク。
セックスセラピストのシィエリーとの出会いと体験が彼にとってどんなに意味ある素晴らしいものだったかは観た人なら容易に分かる。
障害者の性を切り取ってはいるけれど、人して誰もが抱き願うことなのかなと。
身体が不自由でも心は自由そのもののマーク。何にでも物怖じせず、自分から笑いを提供できるような大らかな一面は尊敬に値する。
彼の短い生涯の中で愛し、愛された3人の幸運な女性達。彼女達もまた、彼との関わり合いを経て限界を飛び越えた先にある本当の安らぎを知ったことだろう。
『 僕の言葉で君に触れよう
力のない この手の代わりに
僕の言葉を受け入れてくれ
君の内側を優しく愛撫するから 』
そんな職業があるんだな〜と
ポリオという全身が不随になる重病に侵されながら、生きる気力を失うことなく生きたアメリカの詩人、マーク・オブライエン自身の記事と半生を映画化した内容
アメリカにはセックス・セラピストという風変わりな仕事があるんだなと知った
障害者のセックスライフを特集する仕事を引き受けたものの、マーク自身は童貞であった
そこでヘレン・ハント演じるセックス・セラピスト、シェリルに施されながら、マークは無事に童貞を喪失する
仕事と割り切るシェリルに対して、心の繋がりも求め始めるマークだったが...
映画化するにはタブー的な障害者の性交渉をユーモア交えて描いてはいるが、観賞していくうちに段々悲しい気持ちにさせる演出は巧いと思った
結末はなんとなく読めたけども、マーク・オブライエンは自分の人生に満足したに違いない
不自由そうな喋り方まで披露したジョン・ホークス、何度となくヌードになったヘレン・ハント、心優しい神父を演じたウィリアム・H・メイシーと、芸達者な面子が揃っていたのでダレることなく観れたかな
強くおすすめします。
上映前に仕入れた知識は、ここ“映画.com” に掲載されていた解説と、そこにある数枚のフォトギャラリーだけで、予告編も未見だった。
文庫本の裏表紙に掲載されている解説文と同様に、
映画紹介の解説文もどれほどの効果があるのだろうか。
けっして間違ったことを記載しているわけではないのだが、それはそうなのだが、
読後の印象や鑑賞後に味わうものを、どれほどに伝えることができているのだろうか?
そもそも、解説には感想を盛り込む必要があるとは言いきれないが、
それにしても、よい意味でも悪い意味でも、
その解説から受けた印象よりも遠く離れた地点へ結局は導かれていってしまうことが往々にして起こる。
ここの解説も、その内容は映画の中身とまったく齟齬はなかった。
さて、これを読んで劇場まで足を運ぶまでの予想では、
(障害者の性的欲求とどう向き合うか、というかなり扱いづらいことをテーマにした映画で、
R18+指定だからきわどいシーンも盛り込まれているわけか)
という程度のものだった。
ラストシーンがはじまるとともに、
自分の頬は濡れていった。
濡らすのはひとすじの涙ではとどまらず、
ひとすじが溢れくる涙のため決壊して、頬のほとんどの面積を占めていくのが肌に感じられた。
“感動”という言葉であらわしてしまうのはたやすいことだが、そうはさせたくない。
大学の文学部を卒業し、いまは詩人でありジャーナリストである主人公の語るなにげないひとこと、
そして彼が口に棒をくわえそれで懸命にタイプして起こした詩篇のいくつか。
それには、その感受性がすべてに伴っていることはもちろん、
幼少のころに発症してしまったポリオのためそれ以来寝たきりであること、
敬虔なカソリックであること、
幼少に喪ってしまった妹も罪深い自分が原因であるとさいなんでいること、
通常ならば施設に入所するのだがそうなると18歳くらいまでしか生存できないことを予期してあえて困難な自宅療養を選択して育ててくれた両親への感謝、
などがその背景に少しづつ、ときには大きく描きこまれているために
主人公と接するセラピスト、ヘルパー、神父、それぞれの感情をさりげなく、しかしたおやかにゆさぶっているのが画面から伝わってくる、
だから、観客の胸に響いてくる。
たしかに障害者の性を題材にしてはいるし、その描写もかなりを占めてはいる、
でも、それだけではとどまらない普遍的なものにまで表現しえているからこそ、
ぼくらの感情の琴線を一本づつ穏やかで柔和につまびいてくれる。
ここまで書いてきて、
この文章がどの程度までこの映画のことを伝え得ているのだろうか、
露ほどにもみたないとは自明であるけれど、
でも、可能なかぎり多くの方に見ていただければと思って、
そのかすかな一助になることを願って。
誰からも愛されイキイキとした人生
誰からも愛されイキイキとした人生
内容が内容だけに、台詞も描写も露骨だがまったく厭らしくない。R18+指定だが、もう少し下げてもよかったのではないだろうか。
身体の自由が効かず、できないと諦めていた異性との交わりを手ほどきしてくれるセックス・セラピストという職業。ヘレン・ハントが演じるシェリルは、心身ともに輝きを与えてくれるプロフェッショナルだ。
プロフェッショナルに徹した彼女だが、ユーモアのセンスに長け屈託なく生きる被験者であるマークに魅力を感じてしまったらどうなるのか。
ドキュメンタリータッチの描写に、ドラマ性を持たせたのがまさにこれだ。
マークが初めての体験にビビったり、愛する女性への気持ちや戸惑いを吐露し、そのよき聞き手となるブレンダン神父もなかなかいいスパイスになっている。
マークが接した4人の女性。初めて愛したアマンダ、セックス・セラピストのシェリル、マークの行為を嫌悪せず応援してくれるヘルパーのヴェラ、そしてボランティアのスーザン。みんな、明るく陽気で隠しごとがないマークが大好きなのだ。
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