「母親像がブレており説得力に欠ける」子宮に沈める rakoponさんの映画レビュー(感想・評価)
母親像がブレており説得力に欠ける
実際の事件を元にしているが、
実際の事件の母親像と本作の母親像はとても乖離している。
それ自体は事実から構想を得たフィクションなので良いのだけど。
本作の母親、父親が出ていく前は育児能力はかなり高かったと推察される。
私も今1歳児を育てているが、おうちピクニックであんな素晴らしいお弁当なんか作れないよ。
かなりの高等テク。部屋も片付いているし、親の鑑のよう。
それが父親の家出(離婚?)をきっかけに、どんどん家が荒れ果てていく。
男性が家に来るようになり、母親の服も派手になっていく。
実際の事件では、犯人は男遊びが激しかったようだが、本作では前半、あまりに彼女はしっかりしているので急に男遊びを始めたとは思えず、経済的に致し方なく夜の仕事を始めたのだと解釈していた。
そして一転、家に帰らなくなり、あの結末に。
おそらく実際の犯人は自身の虐待や性被害の経験から、社会的判断能力が低く、境界線知能だった可能性もあるが、本作の母親はとてもそうは見えない。むしろ平均以上の能力を有している。二児をかかえてワンオペ状態にも関わらず、マフラーまで編んでいたなんてすごい。
だからこそ、普通は困窮したとしても児相に相談したり行政に頼ったりする筈だが、そのプロセスが全くなくいきなり乳幼児を部屋に閉じ込め殺害する、といった展開に説得力がなかった。
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