ウィルソン・シモナル スウィング! ダンス!! ブラジル!!!のレビュー・感想・評価
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スウィングしそう
全く未知のミュージシャンでしたが、ブラジル映画祭で鑑賞。
ブラジルといえば、カーニヴァルのイメージしかなく。
でもあんなにカーニヴァルが盛り上がるということは、国民が音楽性豊かだと証明しているようなものですよね。
さて、この映画は1960-70年代に「王様のように」有名だったシモナルという歌手に焦点を当てたドキュメンタリーです。彼の音楽仲間、ジャーナリスト、息子たちが語ります。
彼がどれだけ有名だったかは、魔術のようなコンサート映像を見たらわかるのですが、観客巻き込み型のステージです。
客席を分けて、お互いに合唱させる。観客の楽しそうなことといったら。シモナルがちょっと外へ出てコーヒーのんでいる間にも、彼らは歌い続けています。
観客をのせるのがうまい!
でも、おごれるものは久しからず。
富と名声をほしいままにしたシモナルは政治的スキャンダルにまみれるのです。それがこの映画のふたつめのテーマ。当時のブラジルの政治も関係して、シモナルの命令で拷問されたという証言まで飛び出します。
ミュージシャンとしては超一流ですが、シモナルは他のことには鈍感で、イメージは地に落ちてしまいます。そこからのあまりに気の毒な末路。
真相はどうだったのかは映画は明らかにしていませんが、私はシモナルの関与はないともいえないと思いました。ただ、自覚はしていなかったと思います。
後半の人生の暗部以外は、全体として当時のシモナル人気の熱が伝わる楽しい映画です。
どこの国でも光輝く人がいて、時流に乗って大活躍するのですが、その人が一生涯幸せかどうかは心がけ次第なのかも、と思いました。
才能あふれる人をねたんで、足を引っ張ろうとする姑息な人は消えることがないわけで。あらゆる罠を避けながら期待に応えなければならない。
シモナルは決して長生きしたとは言えませんが、この映画が作られることで少なくとも私の中には生き続けることとなりました。
ドキュメンタリー、音楽、人間の生きかたに興味のある人はぜひどうぞ。
上手に作ってあります。
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