フィルスのレビュー・感想・評価
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【出世争いの果てに男が辿り着いた身の処置方。おバカすぎるスコットランド警察のブルース・ロバートソンを演じるジェームズ・マカヴォイの怪演が見物です。】
ー 前半は、スコットランド警察のブルース・ロバートソン(ジェームズ・マカヴォイ)は、出世のために、裏工作や不正申告をはじめ悪行に余念のない最低刑事。しかも、ドラッグ、アルコールに嵌りまくり、気弱な友人の会計士、クリフォード・ブレス(エディ・マーサン)の奥さんに嫌がらせ電話・・。
とんでもない奴だと思って観ていたら・・。-
◆感想
・クリスマスシーズンに発生した日本人留学生殺人事件の捜査担当となった彼は、首尾よく解決して出世しようと目論むが、酒やドラッグに溺れて錯乱状態に…。
- その殺人事件を只一人観ていた女性を探すが、彼がオカシクなって行く理由がそこには、会った・・。-
・暗示させるブルース・ロバートソンの過去。そして、彼は精神科医に通うも、頻繁に悪夢のような異形の化け物を観る・・。
<前半は、只管におバカコメディだと思っていたら、後半は虚飾の中で過去の忌まわしき思い出を封印しようとしていたブルース・ロバートソンの”自分の身の処し方”。
あれだけ嫌がらせをしていた、親友クリフォード・ブレスに残したビデオレター。
ジェームズ・マカヴォイの怪演が光る、怪作である。>
逃げられた後の成れの果て
好き嫌いは分かれそう。
フィルス(クズ)から学ぶ人生
どこまでも姑息どこまでもクズ
悪徳警官が主人公のストーリーと言えば、『トレーニング・デイ』『バッド・ルーテナント』などを思い出すが、“フィルス”のタイトル通り、ジェームズ・マカヴォイ演じるエディンバラ警察の刑事ブルース・ロバートソンのそれは、“悪徳”というより“堕落”。
ドラッグに買春、同僚の妻との不倫、警部補候補のライバルを蹴落とそうとトイレに落書き、気のいい親友の財布から現金を抜き取り、その妻にはイタズラ電話、とまあどこまでも姑息、どこまでも小物。
その彼が警部補への昇進に拘るのは、妻と娘を取り戻したいがため。
彼は妻に逃げられたのだ。
しかし、それを周囲には隠し、挙げ句の果てには、自ら妻(の姿)になってしまう。
このブルースという男には、自業自得とは思いこそすれ、同情など出来ないのだが、あまりにも惨めで哀れでカッコ悪くて、でも必死な彼の姿に思わず可哀相になってしまう。
多分、これはブルースを演じているジェームズ・マカヴォイによるところが大きい。
棚からぼた餅の若手刑事のジェイミー・ベルは今までにない役を生き生きと演じていたし、ブルースのかすかな希望の光となるシングル・マザーのジョアンヌ・フロガット、ブルースの親友厚底眼鏡のエディ・マーサンなど脇を固める俳優陣も好演。
トレスポと同原作者と知って納得
フィルス=クズ
史上最凶の悪徳クソ刑事参上
ジェームズ・マカヴォイ!はっちゃけましたねぇ!
つかよく引き受けましたねぇ?こんなどうしようもないキャラクター。
いやね、こんなん演じちゃうって凄いなぁ~と思って。本当凄いですよ?凄いでしょ?観ましたか皆さん?
だって、ようやらないでしょ?こんな誰も擁護が出来ないほどのゴミ溜め以下のゲス振り発揮してる自分本位の悪徳クソ刑事役なんて。しかもですよ、今ハリウッドで最も売れっ子の一人に数えられてるキャリアの絶頂にですよ?ここまでの怪演やれちゃうって…ねえ?いやあ大物になりますよマカヴォイ。
本当ね、究極に見下げ果てたイカレダメ人間へ変貌しててね、このクレイジーへの振り切れ加減には惜しみない拍手を送りたいんですよ。だって、彼、本当はタムナスさんですよ?
それほどにマカヴォイが演じたロボ刑事というキャラクターが強烈な個性を放ってる証拠なんですけども。それを彼が見事に体現してみせたんですよね。
で、このロボ刑事、まあそうなるに至るまでの、あるトラウマがあったんですけども。それもね、トラウマがあろうが無かろうが、人生を嘆こうが憂おうがね、そんな資格もないんです。それ以上のトラウマを他人へ植え付けとる訳ですから。
それなのに。それなのにですよ?
ラストで、まあ~泣けるBGMが流れやがるんです。レディオ・ヘッドの名曲『クリープ』が。
いやいやいや、待てと。そんな哀愁の曲を流されてもさ?と。同情なんかできんからさ?と。
て、思うんです。思ってるんですけどもね。なんかね、ウルウルしちゃってたりもするんですよ。何だこの俺の感情は?と。で、気付くんですよ、この感情の理由が。
コイツのこと、ロボのこと。俺、好きになってるんだ、て。
何だかんだ。何だかんだで、愛すべき映画です。ロボも愛すべき?ゲス野郎です。
どうかどうか最期まで、席を立たずに彼のゲス振りをご覧になってください。
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