「参りました。」恋するリベラーチェ ブンガクキョウさんの映画レビュー(感想・評価)
参りました。
恋するリベラーチェ!
ポスターを見て覚悟はして行きましたが、はるかにすごかった。リベラーチェのド派手な一生に目がテン。
スパンコール業界を支えている(!)と豪語するほどのまばゆく輝くピアノを弾くマイケルダグラスの華麗なテクニック。低音から高音へうねりのような華やかなリズム。
イッツショータイム!!
片手だけでも迫力ありまくり、観客を総動員して盛り上げるエンターテイナーのリベラーチェ。
ヘイ!
とこちらも叫んでしまいそう。
その衣装たるや照明に輝く不死鳥。LEDも真っ青、発光してますがな!
ワーオ。
って、マットも本気で驚いてるんじゃないの?
友人に連れられてショーにやってきたスコット、リベラーチェに紹介され、家を案内してもらうことに。
目の悪いプードルの点眼薬を手に入れ、届けたはいいが次のシーンでなぜかシャンパン片手にふたりでジャグジー、ベッドのこっちから半分には絶対行かないと言われ、いつのまにか泊まってる!
目覚めたマット、その寝顔を見つめていたのであろうマイケルのシワだらけの顔がまず目に入るというホラー。シーツがはぎとられ、男ふたり裸でクイーンサイズのベッド、そこへ朝ごはんを持ってきたメイド、朝の光って明るすぎ。ピチピチムチムチのマットの体をなめるように見るマイケルの相好の崩し方、字幕なくてもありありとわかるオネエことば、もしかして実生活もゲイなんじゃ?と寒気に襲われるほどの演技っぷり。
ワーオ!
里親を転々としてきたスコットは、リベラーチェの大きな愛を感じて尽くしていく。里親もいい人たちなんだけどね…
僕はあなたの父であり兄であり恋人であり親友でありたい、つまりすべてでありたいというリベラーチェのことば。異性愛と何も変わらない。
そしてふたりは蜜月へ。宝石、クルマ、惜しげもなくスコットに与えるリベラーチェ。
もうこのあたりからスコットがプードル並にペット化していってる。
運転手となりタカラヅカの男役そっくりな純白衣装に帽子でキメキメ、ラメ入りビキニショーツで泳ぐスコット、いやマット、あんたすごすぎるぜ!!
映画はまだまだ続く。
ほとんど全面改装で若返ったリベラーチェと、彼の若い頃に似せるため整形したスコットは、怪しげなセックスショップへ繰り出していく。てか、そんなゴージャスなケープ着て行かんやろ!突っ込みたいがノンストップ。ふたりの会話もキワドく、お子さまは目を逸らしてください…
そしてスコットはドラッグ常習者となり……けんか、怒鳴り声、まるでリベラーチェの元カレそっくり。
ケアリーという体操のお兄さん的な若いボーイフレンドを見つけたリベラーチェ、スコットは彼を愛しているがゆえの脅迫電話、モノを投げ、異常行動へ。手が付けられなくなり解雇、訴訟。
郵便局で働くスコットは一本の電話を受ける、それは気弱なリベラーチェの声、見舞いにいくスコット。
かつらをとったリベラーチェは最後まで世間に体裁を繕い、エイズだということを隠そうとする。
映画では最後は真っ当に生きているように描かれたスコット、フィクションもあるでしょうが、運命の出会いに飛び込み体ごと委ねた青年の一瞬がよく描けていました。
ソダーバーグ監督もすごいけど、マイケル、マットの体を張った演技に脱帽。
降参です。