フォックスキャッチャーのレビュー・感想・評価
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黒カレル
スティーブ・カレルは日本にいない
自己中。
こちらの先入観のせいか、ベネット・ミラーがもっている資質か、すべてのシーンに緊張感がみなぎる作品になっていた。
殺人が結末になっているということはわかっていたが、誰が誰を、というところまでは知らずに観ていた。実話なので世間的にはよく知られていることなのだが。
どうやって殺意が醸成されていくのか、その一点だけに注目していた。
アメリカのレスリング界がどういうことになっているのかよくわからないが、ひとりの資産家の私物になったかのごとくである。
そして、この資産家はまるで子どもである。
そのわがまま加減が画面に緊迫感を生む。何をするかわからない。
母親にレスリングを否定されたという同情すべき点もあるが、だからといって彼の自分勝手が許されるものではない。
スティーヴ・カレル、チャニング・テイタム、マーク・ラファロ、いずれも好演であった。
固唾を飲んで
日本映画では…
あのレスリングのユニフォームはシングレットっていうらしいです
説明的じゃなく、といってもアメリカらしいオーバーさやドラマチックな演出はありますが、表情や振る舞いを通した心理描写が主です。個人的に好きです。
登場人物のキャラクターが単純化されているので、そんなに難解ではないと思います。
ジムをトボトボとランニングするデュポン氏は強烈に哀れでした。
でも、ストーリーがキャラクターの心理にそって展開していくので、ある程度の抽象性ないし解釈の多様性は確保されています。
事件が起こってキャラクターがリアクションをとる筋ではなくて、キャラクターがアクションを起こしていく。その動機になる心理の描写の抽象性が、リアリティや不気味さに繫がっているんじゃないでしょうか。
まあ、とにかく、いい映画だと思いました。
器だけが大きくなると
個人的には好きでない
アスリートの苦悩
Amazing approach
男ハァハァ サスペンス
目が疲れた
演出家のチカラがすべて。
裸の王様
金で買うことの出来るものなら手に入らないものは何一つない。アメリカの財閥の御曹司ジョン・デュポン。彼が欲しがったのは金では買うことの出来ない名誉、敬意というものだった。
経済力を使ってレスリングチームの「コーチ」の座を手に入れるのだが、しょせんは金にものを言わせたパトロン。
映画はデュポンの虚栄心や孤独、そしてデュポン家の人間にふさわしい名誉をなんとか獲得しなければならないという焦燥感を丹念に描いている。そしてそのような人間の怖さを知るマークと、そのような人間に全く善意の無頓着さを表すデイブの対比も鮮やかに映し出す。
主演のスティーブ・カレルが、コメディ俳優出身とは思えない陰鬱な人間像を演じている。座面に背中を接するほど深くソファに沈み、常に遠く見つめるようなくすんだ瞳。カメラは執拗に彼を正面からとらえる。まるで尊大な人物が自らの意志でカメラを自分のほうへ向けようとするように。
マークを演じるチャニング・テイタムには、あえて顔に陰翳が生じるような角度からの撮影が多くデュポンと兄デイブの間で揺れていることを観客に感じさせる。
そして、デイブは努力と才能によって成功を収めた人間に特有の無頓着さを表している。マークとは対照的に、マーク・ラファロの髭面は何の陰もなく撮影されている。その瞳は明るいが思慮に乏しく単純で明快なものである。
デュポン本人も周囲も、デュポンがそのチームのリーダーで若い選手たちの敬意を集めているという演出に勤しむ。しかしそんな彼の名誉欲はレスリング選手たちには理解されない。なぜなら、彼ら選手が名誉に浴するのは、試合に勝利した時であり、手に入れることは困難ではあるがその名誉の理由が単純明快だからだ。
結局、最後までデュポンは選手たちからの敬意を得ることはない。
彼のその欲望を理解できなかった者は、裸の王様が裸であることを、王様自身に痛切に思い知らせていることに無自覚だ。その無自覚がときに悲劇を招くことになるのだが。
フェイム
金と名声はあるが心は‥という題材は使い古されたものだけど、この作品は不穏かつ重い雰囲気で描かれていてBGMの無い絵作りと少ないセリフという構成なのが良かったと思う。実話に基づきながらほとんど何も語られていないので「意味がわからない」と言われたらそれまで。少し考えればテーマは見出せるとは思うけれど。
3人の演技を引き出したのも上手い。ベネット・ミラーは信用できるなと思う。
"FAME"を使ったのは『プリティウーマン』との関連性を匂わせていたのだろう。つまりはそういうこと。こっちは悲劇だけども。
チャニングは今まで注目してなかったが今後期待できるかなと思った。顔が綺麗すぎて逆に苦労するパターンかもだけどこれを演れるんだから。スティーブは以前から知っていたしこれくらいはやるだろうと。ヘリの中でコカインやりながらスピーチの練習をするところとか祝勝会での悪ふざけとかは彼らしいなと。元より彼の笑いは怖さをたたえている。一番の驚きはマークで、体づくりや髪を抜くこだわりで別人になっていた。技巧派のレスリング選手という設定を納得させる佇まいだった。
しかし男一人で観ると勘違いされそうな作品ではある。かといってカップルで観るのも違うよな。
高みを目指し、結局誰一人として幸せになれず
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