「コン(詐欺)ものではありません」アメリカン・ハッスル ハルさんの映画レビュー(感想・評価)
コン(詐欺)ものではありません
クリックして本文を読む
『ウルフ・オブ・ウォールストリート』と同時期に観てしまったのは弊害があったかも。どちらを先に観るかで評価や感じ方が変わるように思えたから。
主人公の状況が似てしまうためにチラチラと『ウルフ‥』が脳裏をよぎったのだけど、まあ作品自体は全くの非なるものだからこの指摘は大げさかもしれない。そして『ウルフ‥』がレオくんの独壇場であったのに対して今作は主演級が揃っていて分厚いし、なおかつ出来が良い。個人的にはクリスチャン、エイミーとオスカーにノミネートされなかったジェレミーが良かったと思う。それは脚本の力もあるのかとは思うが、人ひとりの深みや側面を繊細に演じていたし、とりわけクリスチャンのアプローチは凄まじいと感じた。個人的な彼のベスト演技としたい。
今作でのコンゲームとしての味付けはドレッシングのようなもので「好きな人はそれを期待すればいい」程度のもの。素材自体が素晴らしいのだからそんなもんどうでもいい。そして「送金はどうする」「電信(wired)で」というやりとりはニヤリとするところで、あの作品をオマージュしていることがわかるから、そこから何が始まるのかは明らかだった。あの弁護士事務所でのやりとりはニヤニヤしっぱなし。
サービス精神といえば、デ・ニーロ出演のくだりも楽しい。彼が拳銃で暗殺するシーンを撮るためだけにあの役を設定したとしか思えない。
観賞後の余韻も心地よく、思わず口ずさんだのは「エンターテイナー」だった。
コメントする