「心の風邪をひいていませんか?」マイク・ミルズのうつの話 ミカさんの映画レビュー(感想・評価)
心の風邪をひいていませんか?
「心の風邪」という製薬会社が行なったキャンペーンにより、うつの薬が爆発的に広まったという興味深いドキュメンタリーフィルム。
「勝ち組」「負け組」「幸福」「不幸」。本来、自分が決める価値観を企業が決める世の中です。自分が決めることを拒否する社会です。
「ADHD」だって、昔は「子供だからね」で済まされました。「痴呆症」だって、昔は「お婆ちゃんだからね」で済まされました。
生きていれば経験する当たり前のことに病名がつけられ、個性が病気になる。
資本主義社会は、あたかも薬漬けの世界を作りだしているように見えます。
しかし、マイク・ミルズは「薬」を必要としている鬱病の人を責めません。あなた達は、被害者なのだとも言いません。
カメラは、まるでマイク・ミルズの人柄を写し出すように、優しく優しく彼らを見守り続けるだけです。
足りないのは、「薬」ではなくそんな社会の優しさなのではないでしょうか。
コメントする