「山羊の血」2つ目の窓 kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
山羊の血
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いきなり山羊のとさつシーンから。神に捧げるためのものなのか、食用なのかはわからない。残酷の裏には生へのこだわりと、死への諦めみたいなものが同居している・・・
高校生界人はシングルマザーの母と二人の生活。父親は東京へと戻り、界人もたまに会いに行っている様子がうかがえる。ある日、幼なじみの杏子と夜の海で待ち合わせしているときに背中に刺青のある男の死体とそれぞれ遭遇した2人。界人にはその刺青が見覚えのあるものだった。
杏子は好奇心旺盛で天真爛漫な少女だったが、母親の死が間近に迫っていて、情緒不安定にもなりがち。界人にも積極的にキスしたり、セックスへと誘うこともあったが、界人は母親が父親以外の男に抱かれているのがトラウマとなっていて、そんな気持ちはさらさらないといった雰囲気。
大きな転機といえば、杏子の母イサ(松田)が亡くなったこと。さらに界人が母親を淫乱だと決めつけなじるシーンだろうか・・・奄美の島だけに、大きな嵐がやってきて、そこですべてが和解へと導かれるのだが、締めくくりが若い二人のセックスとなると、ストーリーのつまらなさは否めない。
監督は自身最高傑作だと言っていたが、『もがりの森』の方が上であることは間違いない。感傷的すぎるためか、メッセージとして訴えてくるものが小さすぎるのだ。映画の作り方、綺麗な水の中の世界、台詞と台詞の間にある行間にはたっぷり心がこもっているし、完成度は高いものの、感情移入ができないところが弱点なのだろうか・・・
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