父の秘密のレビュー・感想・評価
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独自性ある非倫理
妙に覚えている。
叙情をしない。
心象もしない。
あっさりではなく、あっけらかん──である。
が、描かれることは苛烈である。
娘はいじめがエスカレートしてクラスメートに隷属している。
適当になぶられいじられまわされるが、妙な逞しさで窮地を逃れる。
父は得体のしれない諦観がある。
得体のしれない憤懣もある。
それらが何かよく解らないが、諦めと怒りが、無慈悲へ落ちている。
父が娘を弄んだ男の子を、どうやって断罪するかの方法が、極端へ振り切っている。
深田監督の淵に立つの印象と酷似しているが、もっと、すっとぼけた排他がある。
母という名の女もこれと共通した印象で、作風は深田監督より一貫している。
鬼才が鬼才を抜け出すのは、非倫理がこけおどしになっていないとき──だと思う。→まだちょっとよく解らない。
テッサイアはミュージックビデオなんかがあって、本国ではアイドルみたいな人なんだろうか。感じのいい人で、むしろ笑顔が見たかった。
悲劇的に、そして全てを放り投げた!
悲しみ漂う画面づくりと内容がものの見事に融合していて、はっきり言って救いようがない。
基本的に過激なストーリーだと思ったけれど、全ての事柄がいまある社会の問題と密接に結びついているような印象で、非常に興味深く観賞できた。
過剰に見える演出でも、このような負の連鎖が起こってしまうとあり得なくもないなという不思議というか痛々しいというか得体の知れない説得力を感じた。
終わりをどうするのかという思いがずーっと付きまといながら・・・だからなおさら引きつけられたのだけれど・・・予想外の終わり方だったけれど、やっぱそうなるよなぁという思いもして─、こんな根深くて複雑な問題は数時間の物語でどうこうできるものではないなと思い知らされた。
こういう作品なんかが強く主張することで、現実社会での問題解決の一助になるのでしょう。親同伴で子供に見せたらいいのでは─。
これが父親の感情
今、日本でも同じような事件が日々起きていると思う。ラストは父親として(映画の中だからできる)当たり前の感情なのではと思った。最近の風潮、”おもしろい動画を公開する、ごくごく軽い気持ちで” でも軽い気持ちで済まないこともある。主人公が許せないものを成敗してしまうエンディング、北野たけしの映画を思い出した。メンタルの強い人にはおすすめです。
この後の展開が気になる
父と娘のすれ違いというのはあまり感じなかった。父親にこれ以上の配慮などできたであろうか。
いじめは陰湿で、日本とは違う意味で悲惨。娘は何とか脱出するが、死んだと思った父が海に同級生を落とすラストが悲しい。
父と娘はこの後再開するのだろうか。気になる。
せめて一言。
タイトルの意味が最後に分かるが、それをどう捉えるべきか、
なまじどんなホラー映画よりも戦慄が走る作品。
日本の学校でも減らないいじめによる自死が、どんな傾向の
家庭で起こるかを暗示する部分があり、リアル性に於いては
嘔吐したくなるほどの酷さを呈している。なによりの悲劇は、
母親が事故で亡くなったことに起因する父娘の一方通行の愛。
互いを思い遣るばかりに自身の悩みを打ち明けられず、泥沼
に嵌って抜けられなくなってから事態は表面化する。もう遅い、
常に描かれるのはこうなってからの悲劇に他ならないのに
さらに今作は怒号のラストまで用意している。いいのか、これで。
私的にあれだけのリンチを受けながら耐えてきた娘に喝采だが、
なぜ一言、どうして一言、父親に自分の心意を伝えなかったか。
「ある視点」部門グランプリ作品だが、視点は確かにブレてない。
しかし観る者の感情は行き着く場を失う。
父の秘密、娘の秘密。
見るのにとても辛い映画です。
あまりメンタル面が強くない人は見ない方がいいかもしれません。
〜以下感想〜
女性であり、娘である自分としては主人公「アリ」の気持ちが痛い程わかる。
性的に貶められるのは女性として一番の屈辱。通常(という言い方は変だが、)のイジメだけで十分辛いのに、 それに性的な蔑みまで加わり、なおイジメは凄惨なものに...。
それを男親である父親に知られまいと振る舞うアリに涙が出そうになるのに対して彼女に凄惨なイジメを加える転校先の生徒共には(過激な言い方ですが)殺意を抱くのを禁じえませんでした。
辛いのにしかし、映像に釘付けになってしまう、演出、演技、何から何までハイレベルで観る人を引き付ける映画です。長回しが多用されており、ラストは圧巻!好みによりけりですが、一見の価値は確かにあります。しかし冒頭でも申し上げたように、かなりイジメの描写が凄惨ですのでそういったものに抵抗感がある方は見ない方が良いでしょう。
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