「少し切ない」愛の渦 雨音さんの映画レビュー(感想・評価)
少し切ない
「乱交パーティ」というテーマがまず面白くて。そして、中味は意外に真面目だった。
もしかしたらリアルからかけ離れた部分もあったのでは?という疑問は少し残ったけれど、凝っていたので興味深く見ることはできた。
最初の緊張やぎこちなさ。明け方近くのダレて疲れてくる頃のイライラ。カーテンが開けられ眩しい光に照らされ瞬間、現実に引き戻される興ざめ感。こういう感覚って共感できる。
常連さんだと皆に思われていた女は実はサクラだった?場を提供する側の現実。
店じまい後、イライラを隠しきれない助手の携帯に、父親になったよ、というメールがくる。生活がかかっている。彼にも現実がある。
夢と現実の間で、つかの間の楽しみを得ようとする参加者たち。商売上の設定の上で転がされているのにすぎないわけだけど。きれいに切り替えて楽しむことはなかなかできない。現代人のどうしようもなさを感じる。
ニートは、その設定の世界にさえ自分らしさを見出そうとする。片や女子大生はその設定の中の自分に嫌気がさす。
少し切ない。
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