「原点回帰的」007 スペクター Movieアパートさんの映画レビュー(感想・評価)
原点回帰的
見る前は適役にあのクリストフ・ヴァルツが!ということでボンドとクリストフ・ヴァルツがどんな戦いを繰り広げるのか というところに興味が集中してたけどいざ見てみると意外とそこには重きは置かれておらずむしろボンドが戦うのは時代の流れと ボンドとは?という哲学的な問いかけだった気がした(この辺はスカイフォールからテーマ的な部分は引き続いてるとも言える) というわけで見ててまず思ったのは クリストフ・ヴァルツあんまり出てこねえ! ということ 正直もっとクリストフ・ヴァルツ劇場を観れると思ってたのでそこは拍子抜けだったけどやっぱりそこはクリストフ・ヴァルツ 少ない登場ながらミステリアスな雰囲気をバッチリ醸し出してて存在感は抜群 というかむしろもっとどんどんクリストフ・ヴァルツが出てきてたら映画の方向性も変わっちゃってた可能性もあるのでそこはこのぐらいのバランスでよかったかなとも思った 悪役に力がありすぎるとラストの展開でボンド一人の視点に徹するのが難しいし
あと見ててすごく思ったのは、ダニエル・クレイグの007シリーズの中では飛び抜けて話が軽快で軽やかだということ ボンドの心の揺れ動きをじっくり描いたりというよりは本来のボンド的な小粋にイカした車に乗りながら人を殺して、女を抱く といった要素に重きを置かれてたきがする 特にレア・セドゥとのラブシーンは お前あんだけ電車で大暴れしといて次の瞬間は女とヤってるって! と笑っちゃうぐらいだったけど あの強引さがボンドらしさでもあるし、そここそこの映画で一番やろうとしてたことなのかもしれない その辺は終盤のレア・セドゥをお姫様抱っこしてビルから脱出するボンドの姿を見てもすごく感じた
総合すれば前作スカイフォールがボンドの負の面の象徴のハビエル・バルデムとの戦いだったなら今回はここ数作にはあまり無かった、かつてのボンドにあった陽気さみたいなものとダニエル・クレイグのボンドが向き合う映画だったと思う そして最終的には映画を本来の007的なバランスに戻した上でボンドが引退の決断をするという恐ろしくメタで奇妙な構造の映画に仕上がっててその辺がツッコミどころとかちょっと不完全燃焼感のある作品にしてしまってる面もあるけどまぁ面白いことは間違いない
強いて言えばこの役にクリストフ・ヴァルツはもったいない! もっともっと強烈でおいしい役じゃなきゃクリストフ・ヴァルツには物足りないかな まぁボンド映画だからボンドが第一なのはわかるけど