「まあまあ面白かった」007 スペクター 吉泉知彦さんの映画レビュー(感想・評価)
まあまあ面白かった
前回がよすぎたせいもあり、前回ほどの傑作ではなかった。ただ、アクションは素晴らしくハラハラしてテンションが上がり、全体的にただよう高級感にうっとりした。
ミステリー的なストーリーは、行き当たりばったりで適当な印象で、ミステリーとして筋を追うと残念な感じだった。雰囲気だけだと割り切って見た方がいいと思う。
敵がとんでもない巨大組織で巨悪かと思っていたら、そうでもなかった。何がしたいのか、それほどの悪なのか不明で、心から憎たらしいとかぶっ潰したいと思えなかった。
ボンドが実は里子であったというのに驚いた。里子が愛着障害で悪い子になるのはよく聞くのだが、実子の方が悪い子というか狂人レベルの犯罪者というのはあまり腑に落ちない。あいつなら里子がいなくても元々狂人レベルだから関係なく犯罪者になるのではないだろうか。ひどい話であった。
Qが出すぎで、もうちょっと出番増やして欲しいと思うくらいが調度いいかなと思った。もったいぶって欲しかった。
(追記)
『ノー・タイム・トゥ・ダイ』を見るに当たってアマプラで見返す。すると、内容をすっかり忘れていてとても面白かった。前に書いた感想よりもずっと面白くて、スペクターは確かにそれほど悪事を働いているわけではないものの、情報を一手に握ろうとしており、ボンドらの対立軸としてはとても腑に落ちる。また、マドレーヌも魅力的で彼女の活躍ぶりもいい。Qも活躍していていい。アクションもいいし、なんで前は不満に感じたのか、よほど期待して見ていたのだろうか。