僕が星になるまえにのレビュー・感想・評価
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最後の旅行と死生観
ついつい倫理的なことや、法的なことまで考えてしまいました。末期がんで余命いくばくもない状況のジェームズ(カンバーバッチ)が主人公で、親友であるデイヴィー、ビル、マイルズの4人でジェームズのためにウェールズのバラファンドル湾へとキャンプしながら旅をする。
ジェームズ以外ではマイルズの覚悟に注目してしまいますが、祭りみたいなパーティで天使の羽をつけた少年にロレックスを盗まれ、海に投げ捨てられるという災難。さらには携帯が鳴ったことで、デイヴィーに取り上げられ海に落ちてしまうなどといった災難続き。ただ、ジェームズに真摯に向き合うには日常の生活を投げ捨ててもいいという意気込みが感じられた。ただ、会社が破産寸前だったり、ジェームズに秘密を打ち明けねばならないのだ・・・
みんなアラサーなんだし、死んだらどこに行くの?なんてことも天文学的な話へと発展したりする。ダークマターの隙間あたりに・・・という言葉にも悲しみに満ちていて、みんな俯いてしまう様子がいい。
旅自体が困難続きであり、まるでサバイバル生活をしているかのよう。これが人生そのものだということも描いてあるのですが、他の3人には未来がある。苦痛との戦いしかない残された人生はいやだ!
タイトルで印象が変わる作品。原題の『The Third Star』がこの作品のすべて。この邦題では主題がぼやけてしまいます。見終わって誤解されている方のために。
この邦題はどうしてつけたのか?
原題の『The Third Star』では何故いけなかったのか?配給会社の意図を伺いたいです。
それくらい題名が全ての意味を持っていると感じる作品だからです。
『僕が星になる前に』ではこの映画の主題も、彼等の粋な会話も全てがぼやけてしまいます。
このロードムービーの中で、目的地に向かう途中の何気ない友達同士の会話「ところで、そこには(目的地に)どうやって行くんだ?」「簡単さ、夜明けの方向へずっと真っ直ぐ行って3番目の星を右に曲がるんだよ」「違うよ。2番目だよw」「ああそうか、だからいつも迷ってばかりいるんだ」という会話がポイントになります。
この『3番目の星』が原題の『The Third Star』であり、これはピーターパンがネバーランドへみんなを連れて行く時のセリフが元になっています。「夜明けの方向へずっと真っ直ぐ行って2番目の星を右に曲がるんだ」
ネバーランドへ行きたかったのに行こうとしても迷ってばかりでたどり着けず、そうこうするうちに、もうネバーランドに行く年でもなくなってしまった。他人から良く見えようが、悪く見えようが、全員がまだまだ迷ってばかりいる30歳。
現実を受け入れ、現実に立ち向かって行かなければならないと自覚する今日この頃。
それでも抜け出せず、相変わらず迷ってばかり。そんな状態を、この何気ない彼らの会話とそれまでの物語とがシンクロして、『The Third Star』が小粋にこの話に効いてくるんです。
彼等の人生とこの旅もシンクロさせています。途中目的地はあるようで曖昧に思え、寄り道をしたり、アクシデントがあったり、仲間同士でぶつかったり、ふらふら迷ってばかり。 よくあるパターンというか設定ですが、シニカルでウィットに富んだ会話が『ありきたり』を吹き飛ばしています。
旅の始まりの頃彼らはネバーランドに向かうまるで少年のように描かれています。
前述した会話でも、行き先がまだ『ネバーランド』であることが判ります
『The Third Star』で迷ってしまい、ネバーランドに行けなかったため子供のままでいることの許されない、何となぁーく大人になってしまったけれど、何処にもたどり着けない30歳の男達。
子供でいることに未練があり、大人でいるにはまだ居心地が悪い彼等。
人生の目的地なんてあるようでないようでいつも曖昧で、何処に行って良いのかも判らない。そんな彼等が主人公Jamesの目的地を頼りに進んでいく、この映画がロードムービーだったのは必然だと思えます。
友人たちはこの後迷いから抜け出し、『受け入れなければならない現実』と折り合う時間がある、でもJamesにはその時間が残り少ないのは明らか。
Jamesは誰よりも先に『The Third Star』を越える旅に出る決意と覚悟をします。
彼の『受け入れなければならない唯一の現実』に向かって。
Jamesの「世界で一番好きな場所」は『2番目の星を右に曲がったネバーランド』ではなく、みんなで通った『3番目の星を右に曲がった先』迷いを越えた場所なんでしょう。
そしてJamesは、『The 2nd Star』を通ってネバーランド(子供の国)へみんなを連れて行くピーターパンではなく、『The Third Star』を越えて現実へとみんなを連れて行く大人への道案内人なのです。
Jamesは彼等の中で『The Third Star』(大人への道しるべ)になるのではないかなあと思えました。
この映画には背景にずっと題名である『The Third Star』があり、
『ピーターパン=子供の世界』と『大人の世界』
『迷い』と『現実』があり、
『The 2nd Star』と『The Third Star』の対比が存在するのです。
だからこそ、この映画はこの原題が全てだと思うし、この題名がこの映画全体を包んでいる。
細かく要所要所で効いてくる。
そのセンスの良さをこんな邦題で壊さないで欲しいと思いました。
この邦題こそが、この映画の主題を迷わせる
それこそ『The Third Star』になってしまっています。
『点と線』にみられるように、センスのよい作品は題名にも表れる時があります。
それをいたずらにいじってはいけません。
最後の旅路
生きる意味
最期に行きたい場所は何処?
末期ガンのジェームズに残された時間が少ないのは確かだが、彼を支える三人の親友、デイヴィ、マイルズ、ビルも、そして私達も皆永遠に生きられる訳ではなく、明日はどうなるかわからない。
私達もまた余命を生きているのである。
ジェームズはもちろん、三人も人生の岐路に立たされている。
時間は誰にとっても限られているのに、
先に一歩踏み出すことを躊躇している三人がジェームズには歯がゆい。
彼らに何かを伝えられるとしたら、これが最後のチャンス。
そして、ジェームズには計画があった…。
『死ぬまでにしたい10のこと』『最高の人生の見つけ方』『ノッキング・ヘブンズ・ドア』『エイプリルの七面鳥』とか、余命幾ばくもないキャラクターが登場するる作品は珍しくはないだけに、差別化が出来ているか?オリジナリティがあるかどうかというと、微妙。
確かに死にゆくジェームズを演じたB・カンバーバッチの新たな面を見ることは出来たが、ジェームズを献身的に看護するデイヴィーを演じるトム・バークが『オンリー・ゴッド』のあの一番の狂犬キャラのお兄ちゃん役だと気づいてビックリ!
友情の素晴らしさ
スタンドバイミーとレビューされていた方がいましたが、まさに同じことを思いました。
自分の最後が短いと知った時、自分は何を感じそして周りの人たちは何を感じるだろうか。
家族はそばにいてくれるだろうか?友人もそばにいてくれるのだろうか?
自分は残りの時間をどう過ごすだろうか?私にも最後まで支えてくれる友達はいるのだろうか?
とても色々な事を考えさせられる作品でした。
主人公の選んだ道が正しかったのかどうかは本人にしか分からないけど、最後まで自分と戦うと言う意味では正しかったんだと思う。
男っていいなって思った。これが女ならきっとガラッと内容が変わるはず。
決して悲しいだけの映画では無く笑顔も多い内容で温かい気持ちで最後まで鑑賞できました。
スタンドバイミー…
観終えて一番に「友情ってなんだろうね…」なんて思わず考えた一本でした。
世間の人気と話題に乗り切れず、どうしても「トカゲ男爵」の印象が拭えないカンバーバッジ初主演作品。
三十路手前の野郎四人、うち一名の末期ガンの奴の為に。
そいつが見たい景色を目指すロードムービー。
決して目新しいことは無いし、ドカンと来るような泣かせも無いんだけど…
どうしてこんなに心に沁みるのか!涙
カンバーバッジ氏の演技が見事としか言いようが無く。
野郎同士のあの(笑)キャッキャ感と…
三十歳という年齢にのしかかる、現実のしがらみと…
死を目の前にした時、自分だったらどうしたい?なんて思いた…
いろいろ混ざり合った、「コクのある味」の作品です。
この良さを分かる人とは、仲良くなれる気がします…涙
生きていくのに必要なこと
カンバーバッチ君の新たな魅力、発見!
淡々と
期待しすぎた
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