劇場公開日 2013年10月12日

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「女心はカイロのように美しく、魅惑的でしかも、謎めいていたよ?」カイロ・タイム 異邦人 Ryuu topiann(リュウとぴあん)さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0女心はカイロのように美しく、魅惑的でしかも、謎めいていたよ?

2013年10月10日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

楽しい

この映画の物語は、女性誌の編集員をしている主人公のジュリエットが、国連で働く夫と久し振りの休暇を過ごす為に、2人はエジプトのカイロで待ち合わせをする。
しかし、夫はパレスチナのガザ地区で起きたトラブルの為に、足止めされ、ジュリエットの待っているホテルには容易にやって来る事が出来ない。

見知らぬ異国の地の果てに、一人放り出されてしまった彼女にとっては、夫と共に楽しく過ごす筈の休暇は一転して、不安と寂しさ・心細さの募る孤独な時間になる。
だが、その彼女の前に、夫の元護衛官をしていたタレクが現れ、彼女のエスコートをしてくれ、彼女も徐々に、見知らぬ異文化の中での時間に自分なりの楽しみを見つけ出してゆく。
そして、彼女は次第に、夫以外の男性と過ごす時間の中で、今迄に無い自分の一面を見つけて行くと言うものだ。

夫のかつての部下であるエジプト人のタレクが日々ジュリエットをエジプトの名所を案内するシーンが延々と展開する。
観客の私達は、彼らが訪れるカイロ周辺の観光地の数々を、映画で堪能する事が出来るのだが、これが絶景なのです!

この映画に大表されるように、作品の舞台として登場するロケ地の数々で、異国の地の史跡名所を楽しみ、そのロケ地の国の伝統文化や、生活習慣を映画から、学び楽しむ事が出来るのも、ストーリー展開の楽しさを味わう物とは異なる、別の映画の楽しみ方の一つだ。
この作品の中では、そんなオマケの楽しみの部分である観光気分をメインにして、思う存分に楽しめる作品だったのだ。

この映画を観ていてズーっと似ている作品が二つ有ると考えていたのだが、あの巨匠ディビット・リーンの「旅情」と、メリル・ストリープの代表作である「恋におちて」だ。

誰でも旅先では、非日常的な生活空間を体験する事で、それまでの生活に追われる日々では、決して自分自身でも知る事の出来なかった、自身の新たな一面を知る事が出来る。

この作品でも、ジュリエットは夫以外の男友達と過ごす時間の楽しみを見つけてしまうのだ。
一方、映画「旅情」では、キャリア・ウーマンの主人公が、旅先で出会った色男と遂には、結ばれてしまうと言うお話だったが、あの映画のヒロインは、未婚女性であった。
しかし、本作品のヒロインは、同じキャリア・ウーマンでも既婚者だ。
だがこの2人のヒロインに共通するのは、人生を重ねて来た女性だと言う事実。
そんな彼女の孤独感や、老いて行く自分への寂しさや、焦りなどが、セリフの少ない作品ながら、映像の中から滲み出て来るのだ。
そして、小さなきっかけで知り合った男と女が、恋に落ちると言う繊細さは、映画「恋におちて」を想い起こさせる作品だ。

また雑誌編集に携わると言う彼女が旅先で装うファッションセンスの良い衣装の数々も大人のヒロインの美しさをより確かなものに魅せてくれるのだ。

秋の夜長に、恋の予感を感じるキャリア・ウーマンの方々には、とても感情移入出来る映画かも知れない。しかし男性には少々退屈な映画だ。

そして、エジプトに関心が高い方には、お薦めの映画の一つとなるのだろうか?

ryuu topiann
ryuu topiannさんのコメント
2013年10月16日

高知ネコさん

初めまして、コメントありがとうございました。この映画では夫がやっとホテルに到着した後に、彼女の変化に気付いても、彼女も何とか夫との元通りの生活へと自然に戻ろうとする気配をみせているから、泣けないのかな?「旅情」では列車のラストシーンは忘れられない名ラストでしたから、女性にはグッと来るものが有ったのでしょうね。
「あいびき」も名作で大好きですが、「逢いびき」と言われたら、急に「慕情」を思い出しました。「慕情」も異国情緒が巧くでていて、しかも、あのテーマ曲「ラブ イズ メニースプレンダーシング」を思い出しました。
昔のラブストーリーは、今思い出して考え直すと、ワンパターンでシンプルな作品が多いけれど、とても純粋で、ヒロインには気品が有るし、心がとても綺麗ですよね。「ローマの休日」もそうですが、本当にピュアで、観ていると心が洗われる思いがします。それは私が俗っぽくなり過ぎたので、そう思うのでしょうかね?
新作ばかりでなく、名作も是非もっと沢山、見直してみようと思います。
ありがとうございました。

ryuu topiann
高知ネコさんのコメント
2013年10月15日

 んー、退屈はしませんが、「旅情」と違って泣けない。きれいで、ロマンスの王道をいってますがねぇ。ヒロインもすてきです。なんで泣けないかわからない。
 わたしは、あれも想い出しましたよ、「あいびき」

高知ネコ