「6つのエピソードがばらばら」すべては君に逢えたから マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)
6つのエピソードがばらばら
時折、この時節になると公開される“ほんわかハッピー映画”のひとつ。
邦画だと2005年の「大停電の夜に」、洋画では2011年の「ニューイヤーズ・イブ」が思い出される。
どういうわけか、決まってオールスターキャストで、複数のエピソードが連なる。
本作も10人の俳優が顔を揃え、それぞれのイヴを迎える構成だ。
エピソードのひとつひとつはドラマになっているが、何かひとつ、筋の通ったメイン・テーマが欲しかった。
「大停電の夜に」は都会の停電と仄かな光、「ニューイヤーズ・イブ」は新年を祝うタイムズスクエアでのイベントというテーマに添って各エピソードが語られている。
そうして観たとき本作のテーマはと考えると、それは“出会い”。それもただの出会いではない。この世に生を受け、時間と空間を超えた偶然の出会いの“尊さ”を歌い上げたかったはずだ。
だとすれば、玉木宏と高梨臨ふたりが演じた男女のエピソードは安直な偶然のオンパレードで嘘くさい。
木村文乃と東出昌大のカップルに至っては、なんの変哲もないふつうのメロドラマだ。
どちらも幸せ感が薄っぺら。
本田翼は目を丸くするだけで表情がワンパターン。そもそもエピソードにすらなっていない。その辺から黒いアヒルが出てきそう。
もう少し脚本全体を煮詰めてほしかった。
ただひとつ、時任三郎と大塚寧々が夫婦を演じるエピソードが心を打つのは、なんの仕掛けも無しに親と子を通じて生命の出会いと別れを描いたからだ。子役も自然な演技で泣かせる。
目立たないが、随所でVFXが効果的。まるでオールロケのよう。
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