「自分の知らない世界を体感させてくれる名作林業映画」WOOD JOB!(ウッジョブ) 神去なあなあ日常 といぼ:レビューが長い人さんの映画レビュー(感想・評価)
自分の知らない世界を体感させてくれる名作林業映画
多分、ジャンルとして名前は無いですが、本作のように「マイナーな世界に入っていく部外者を主人公とした作品」は個人的に結構好きです。
最近の作品で言えば、グライダーを操ってタイムを競う航空競技に無経験ながら挑戦する主人公を描いた『ブルーサーマル』というアニメ映画とか、カーレースのテレビゲームの世界チャンピオンである主人公が実車を操りドリフトの技術を競う大会に出場することになる『アライブフーン』っていう映画がありましたね。
本作もまた、「林業」という一般の方にはあまり馴染みのない職種に従事する方々の生き様や、その中に入り込んで次第に馴染んでいく部外者としての主人公の描写が最高でした。ストーリー、脚本も素晴らしかったし、何より凄かったのは映像ですね。圧巻の自然描写やどうやって撮影したのか気になるシーンも多く、映像を観ているだけでも元が取れるレベルでした。
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大学受験に失敗して彼女にも振られ、自暴自棄になっていた平野勇気(染谷将太)。街中でたまたま林業のパンフレットを見掛け、表紙の美女に惹かれて林業研修に申し込んだ。携帯の電波が通じないほどの山奥にある神去村での研修がスタートしたが、あまりの過酷さに辞退しようかと思った矢先、パンフレットの表紙に映っていた美女・石井直紀(長澤まさみ)が神去村に住んでいると知り、辛い研修を耐えていく。
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映像・ストーリー・脚本・演出・役者陣。どれをとっても素晴らしい。
不満点はほとんど無くて、強いて挙げるならば、平野の元カノである清野菜名さん演じる女の子の扱いが雑だったことくらいですかね。
本作のような部外者としての主人公が自分の知らなかったマイナーな世界に足を踏み入れる系の作品は、その世界がどれだけ魅力的に見えるかによってその映画の魅力も変わってくるように感じます。例えば、先に挙げた『ブルーサーマル』というグライダー競技をテーマとするアニメ映画では、嫌々ながら航空部に入部した主人公が広大な青い空に魅了されていく様子が描かれ、それを鑑賞している我々観客も、スクリーンに広がる青空とグライダー競技の奥深さに魅了されていきます。本作でもまた、新緑生い茂る山々の広大さと林業の奥深さに主人公の平野が魅せられていくのと同時に、我々観客も山に強い魅力を感じ、木の香りが感じられるような没入感を覚えます。
主人公の成長をしっかり描けているのも好感が持てます。最初は林業に対していい印象を持っておらず態度も生意気だった平野が、直紀との出会いや神去村の男たちの林業に対する情熱や理念を知ることで段々と心を改め、仕事に真剣に向き合うようになる成長っぷりが素晴らしかった。彼の成長を「研修の残り日数を数えるのをやめる」「かつての生意気だった自分と同じ言動をした人に対して憤りを感じる」という間接的描写で見せてくれるのも非常に良かったと感じます。
とにかく、全編通してダレるところも無く非常に楽しく鑑賞することができ、観終わってから非常に爽快な気分になることができました。多くの方に観てほしい名作映画でした。非常に面白かったです!!オススメです!!