「廃校物語」ハーメルン odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
廃校物語
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美しい奥会津に佇む廃校となった小学校を舞台に一人で学校に残った老校長やかっての教え子、居酒屋を営むかっての恩師の娘さん、学校を吹奏楽の練習所として通う地元の老人たち、老校長の友人の元映画館主などの人生模様を淡々と描いてゆきます。
ハーメルンはグリム童話「ハーメルンの笛吹き」から来ているのでしょう、劇中で寓話を模したからくり時計や人形劇が出てきましたね。住民に騙された報復に子供たちを誘拐するという、とんでもない笛吹きの話がどこで、この物語に通じるのか、3.11の震災被害を受けた福島の悲劇ととる人もいるようですが私には難解で真意が汲み取りかねました。
製作陣の何かに取り憑かれたような思い入れや映像の美しさは間違いなく伝わるのですが長い割には登場人物の掘り下げが少なく、劇的なエピソードもなく、観客の想像力に委ねているような曖昧さは作家性なのでしょう。ノスタルジーは誰しも持っているでしょうが私には地域や世代も映画とは異なるのでストレートな共感、共有には至りませんでしたが映像と倍賞さんの美声には感動しました。
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