劇場公開日 2014年1月31日

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「人間の業の深さをテンポ良く描く」ウルフ・オブ・ウォールストリート CRAFT BOXさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5人間の業の深さをテンポ良く描く

2014年12月12日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

株のブローカーとしてアメリカの株式市場でのし上がった実在の人物・ジョーダン・ベルフォートを主人公に、金が金を生み出す狂騒的な金融の世界を描く。
マーティン・スコセッシ監督と、主演のレオナルド・ディカプリオのコンビは、すでにお馴染みのコンビとなった。

金儲け、薬、セックスに対して完全に麻痺している主人公やその周囲の仲間達。小さな店頭株専門のブローカーから、大規模な株式上場の幹事になるまでのし上がり、成金三昧の生活。それでも金儲け、薬、セックスへの欲望は尽きる事がなく、何度も何度も繰り返され、依存状況になって行く。
そしてやがて訪れる破滅への道。そして仲間を裏切り、狂騒は終わる。
しかし、ラストシーンで見るように、そんな麻痺した金儲けを望み目指す人達の存在は尽きる事がない……

バブル経済を経験し、ホリエモンに象徴されるITバブルを投げめて来た日本人としても、狂騒とも言うべき主人公たちの生活は、さもありなんと言うところだ。

人間の業、金に執着する嫌らしさ、価値観の崩壊した乱れた生活、それらを延々と3時間、描き続けていく。しかし、本作は見事なほどテンポがいい。これは、近年のスコセッシ作品でも抜けているし、過去の名作『グッド・フェローズ』には及ばないものの、それを彷彿とさせる。
ジョーダン・ベルフォートの原作ノンフィクションを映画化しているだけあって、彼を貶める作品には出来なかっただろうが、彼の狂った当時の生活は十分過ぎるほど描いているし、ラストシーンで主人公だけの問題ではなく、主人公のような金儲けを求める人間たちによる、社会の業の深さを描いている所などは、さすがスコセッシ。

ディカプリオを多用するスコセッシ。実はこれまでの2人のコンビ作はそれほど好きなものがないのだが、本作はそんな2人のコンビ作としては1番面白い。

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CRAFT BOX