「人生に必要なのは、勇気と想像力と、少しのお金」ウルフ・オブ・ウォールストリート 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
人生に必要なのは、勇気と想像力と、少しのお金
お金持ちになりたいか?
YES!
ならばこの映画は…見ない方がいいかもしれない!?
無一文から億万長者へ。
“ウォール街の狼”と呼ばれた実在の証券マン、ジョーダン・ベルフォートによる回顧録を映画化した話題作。
破天荒な男が居たものだ。
相手を丸め込むセールストーク、違法な手腕で金を溢れんばかりに稼ぐ。
金は稼いだ分だけ荒使いし、その合間に、ドラッグ、女、セックス!そしてまた、ドラッグ、女、セックス!そしてまたやっぱり、ドラッグ、女、セックス!
お下品、お下劣、不道徳の極み。
間違っても聖人君子などではない。高慢でいけ好かないヤな奴。
なのに何故か、このアンチ・サクセスストーリーが見てて面白いのだから困ったものだ。
クレイジー!ハイテンション!ハッスル!
レオナルド・ディカプリオがカリスマ性たっぷりに、滑稽さも滲ませながら、ジョーダンを怪演。
それにしても、船の鼻先で世界の王子様やってた頃を思うと、面白い演技派になったものだ。
今作での彼の演技には、うっすらジャック・ニコルソンのような凄みと強烈個性すら感じた。
ジョナ・ヒル、マシュー・マコノヒー、ジャン・デュジャルダン、さらにはロブ・ライナー、ユニークなキャストによるアンサンブル演技も快調。
現在72歳のマーティン・スコセッシ。
一体何処に、こんなエネルギッシュさと若々しさが潜んでいたのだろう?
見ながら、これがスコセッシ映画である事を忘れてしまったほど。
巨匠、恐るべし!
どんな一大帝国にも破滅の時が来るのは必然。
ジョーダンだって最初はもっとまともな男だった。
金持ちになりたいという野心や向上心は持っているものの、ドラッグもやらず、奥さん一筋。
しかし、金が彼を変えた。
金の亡者ほど、貧乏人以上に金を欲しがると言う。
有り過ぎる金は麻薬と同じ。
堕落の底へズルズル引き落とす。
「人生に必要なのは、勇気と想像力と、少しのお金だ」
チャップリンのそんな名言があった。
何事もほどほどに。
映画は反面教師として、それを教えてくれている…?