「元悪徳証券会社社長ジョーダンベルフォードの回顧録」ウルフ・オブ・ウォールストリート 葵須さんの映画レビュー(感想・評価)
元悪徳証券会社社長ジョーダンベルフォードの回顧録
最近株を初めたので興味があった一作をAmazon Primeで見てみた。自分と同様に株の初心者にとって、この作品をみれば証券会社が個人投資家に求めていることやIPOを立ち上げる時の違法な取引の方法の事例が分かるので、見ててちょっとした勉強になる作品だと思う。結論としては、今作は新しめのハリウッド映画群の中で表現される欲望丸出しのエネルギッシュな作品達(ビジネスやカルチャの面で)と同様に面白い作品だった。ジョーダン・ベルフォートは人を搾取するという意味で悪人ではあるがそれを追求してFBIという敵や家族仲のトラブルに対応して悪戦苦闘する姿は共感できる部分があるし、欲望を貫く姿勢は見てて小気味よい。
監督はマーティン・スコセッシで、彼の作品についてはタクシードライバー、グッドフェローズ、ディパーテッドを自分は見ている。本作はグッドフェローズと同じ組織を最終的に売る男の物語ではある。グッドフェローズがマフィア、こちらが証券会社の話であるという違いがあり、グッドフェローズの方が人死が多数出るという違いはあるが、違法な事をやっていることは同じでありウルフオブストリートの方が狂った感じは強い。
作品中で印象に残ったのはなんといっても冒頭で新入社員として投資銀行LFロスチャイルド社に入社したジョーダンベルフォードを歓迎する上司ハンナの描写。彼のセリフとその演技はとても魅了的で、聞いていて狂った内容ではあるがなるほどと思うし、彼の進める薬の話は法律的にできないにしても下の話については自分も考えてもいいかもしれないと思うほどだった。そんな風に自分に強く印象を与えたハンナは作中では主人公が銀行を去って以降は全く出てこないが、ハンナの教えがジョーダンベルフォードの生き方を作った事は、独立したベルフォードの生き様の描写を見る限り間違いないだろう。FBIに立ち向かって一致団結というシーンで彼がハンナの教えた胸を叩きながら社員たちと一緒になって自分達を鼓舞するシーンは胸が熱くなった(冗談。実際は微笑ましく思っただけ)。他に気になったキャラクタといえばドニーくらいか(そもそも本作はキャラクターを細かく描く事にフォーカスしてない)。彼に対しては強者にすり寄るコバンザメ的な人としてあんまり印象は良くなく、作中でも彼がやらかしているシーンは多いが
余談。wikipediaで本作の記事を読んで見ると、本作は最も多くFUCKという言葉が使われた映画らしい(569回)。