「金儲けというドラッグ」ウルフ・オブ・ウォールストリート REXさんの映画レビュー(感想・評価)
金儲けというドラッグ
ジョーダン・ベルフォートは最初に入社したL.F.ロスチャイルドで、ぶっとんだ上司から痛烈な洗礼を受ける。
「存在しないただの数字を右から左に動かす」
そこにあたかも付加価値があるかのように思わせ、顧客が得た金は現金化する前に投資させる。
右から左へ動かす金もない小市民にとっては、ロスチャイルドだろうがベルフォートだろうが同じようなペテン師に思える。
しかし彼らを軽蔑しつつ、どこかでべルフォートの圧倒的なパワーとモチベーションに惹かれるのも事実。稼いだ金は女とドラッグとパーティーにつぎ込むという、やってることは学生のソレなのだが、こんなパワフルなトップが率いる会社にいたら、さぞ楽しいだろうなとさえ思えてしまう。
彼の操縦する船に乗り、どこまで行くかを見てみたい。
それが泡沫の夢でも、人生一度はこんな経験してみたい。
延々と見せられる饗宴には、そんな魔力が秘められている。
179分は長いが、この長さがないと、彼らと同じような陶酔感を疑似体験することは得られなかったのかもしれない。圧倒的なテンションで突き進むジョナ・ヒルらの演技は、悪ノリと狂気のはざまにある。その閾値はなんだろう。
巧みな話術で人をその気にさせ、金を転がしていく行為は麻薬に似ているんだろう。
一度その快感にはまったら抜け出せない。
ラスト、講演会に現れた無数の子羊たちは、ベルフォートの前に並べられた生贄のようだった。
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