「ハリウッドトレンドのテンプレを盛り込みました」バイオハザード ザ・ファイナル なの花さんの映画レビュー(感想・評価)
ハリウッドトレンドのテンプレを盛り込みました
まずシリーズものにありがちな、物語間の「空白の数年」を冒頭のナレーションで解決するという手法ですが、一作ごとに「新しい敵」が登場するマーベルやワイスピならまだしも、バイオの敵は一作目から一貫してアンブレラ社。
前作までに掴んだと思った組織の全貌が、実は内紛裏切りクローンでしたと冒頭のお喋りで語られるため、結局コトが解決・進展したのは「空白の数年」の間のこと。映画で描写されるのは、その尻拭いをするところだけです。「空白」のことは放映後に意気揚々と監督や演出脚本が裏話的に語りますが、ほぼこじつけと脳内設定に過ぎないザルなもの。考察サイトの方がよほど論理的です。
そして「強そうな敵との一騎討ち」「謎に吠えたり威嚇したり動物型の敵に感情があるかのような描写」「助けを求める少女」「バイク・カーアクション」「炎の中を通り過ぎる時の謎のスローモーションとカット割」「遊んで油断する敵」「移動する乗り物の上で格闘戦」「強いジジイ」「ジジイに殴られるアリス」と冒頭から流行りの手法をポンポン放り込み、今までのバイオの「乱戦」「無感情の敵」「場を読まないゾンビ」「数の不利と武器の有利」「アンブレラの非情さと周到さ」「アリスの特異性」などの要素がじゃんじゃか失われていきます。
その後もリカバリーはされず、結果「アリスのヒロイック」に終始してザルザルに終わりました。
CGは比べ物にならないながらまるで日本の実写化映画のようなストーリー展開でしたね。せめてカメラワークやショットで魅せて欲しかったところも、やっぱり「俳優・女優をなるべく映す」という日本の商業映画のようでした。
最後だからいーや!みたいな投げやりさすら感じる映画でしたね。悲しかったです。