「演歌がグッド。」オンリー・ゴッド ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
演歌がグッド。
この監督の前作でも然り、寡黙なバイオレンス作品。
いや、今回はちょっと違うかな^^;
「ドライヴ」ではかなりのマニアを生んだみたいだけど、
その独特な世界観と映像センスをどう見るかで、
作品の好き嫌いはハッキリ分かれるところだと思う。
大方男性陣はカッコいい♪という意見が多かったけれど、
私個人的には今ひとつ入り込めない世界だった。
なので今回も過度な期待はせずに観に行ったんだけど…
私的にR・ゴズリングは、普通に喋っている方が好きだ。
あまりに寡黙すぎて何を考えているかサッパリ分からない。
説明など何もない物語は(毎回そうよね)彼の行動と周囲の
雰囲気で、あーそういうことだったのか。が分かる形式で
不親切極まりない暗い映像。その中に惨殺死体が転がる。
スピード感のない惨殺場面は、ただでさえゆっくりな演出に
追い打ちをかけ、どれほど痛く斬りつけられているかが
連想されてしまう二重地獄構造。目を閉じてる時間が長い。
静まり返った劇場内には、そこに声をあげる観客もおらず、
隣りの爺さんが食べている煎餅の音が鳴り響く始末だった。
…そこへ、あのタイ人が歌う「演歌」だ。何なのこの場末感。
つまらないとか、眠くなるとか、もうそういう次元ではない。
神がいるなら助けて欲しいのはこういう時だな、と思った。
なるほど、観る者にそう思わせる戦略だったのか!?
だとしたら巧い監督だけど、そういうワケでもあるまいに。
どう考えても、元警官を名乗るあのタイ人が可笑しすぎる。
背中から刀が出てくるし、変な歩き方するし、レベルが違う。
すっかりゴズリングの出番など影を潜め、負けが誇張される。
で、必勝ゴキゲン!またあの「演歌」だ。
まさかのまさか、エンディングまで、あの「演歌」だ。
これがムダに上手いおかげで、さらに怪作となってしまった。
彼の名はヴィタヤ・パンスリンガム。覚えておきましょう。
ところで母親役のスコット・トーマス。どうした、そのメイク!?
(90分間耐えられそうなら観てみて。このベスト・オブ・場末感)