「女は常に敏感です。」百瀬、こっちを向いて。 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
女は常に敏感です。
作家の乙一が中田永一という名前で発表した作品。
そう聞いて、俄然観る気になった私。
実のところあまり食指が湧かなかったのだ、ももクロは
まぁ分かるんだけど、脱退した早見あかりを知らないし、
ふ~ん…とポスターを眺めていたら、あらビックリ!
すんごい近所で撮影していたんだ、これ(爆)
というワケで、よく観に行くシネコンにはデカデカと
彼女のサインが飾られていました。わ~そうでしたか。
切ないラブストーリー…といえば確かにそうなんだけど、
さすが乙一、主人公をはじめ人間が傷つけられる描写が
ハンパなく残酷。確かに中高生の頃って○○先輩~♪とか
いうのに憧れて、あんな風に大騒ぎしてた時期があった。
当然そのカッコいい先輩にはこれまた美人の彼女がいて、
はぁ仕方ないよねvなんて溜息をついた女子は多いと思う。
やはりその頃は、見てくれが一番!(切実だよ)美男美女で
ワンセット。という括りだからこそ盛り上がった学生恋愛。
しかしそういう先輩に本気になってアプローチしてしまい、
二股かけられてその上「こいつと付き合っているフリ頼む」
なんていう残酷な提案をされる主人公の相原と当事者百瀬。
こういう時の男の気持ちは、今なら分からないでもないが、
実はこの先輩にも生活絡みの問題があったことが判明する。
何ていうか…たかが恋愛。されど恋愛。初めての恋をした
純粋な男の子の初々しい感情と、それに気付きながらどう
しようもない片想いの苦しみを二人は感情豊かに表現する。
どうして私が好きになる人は、私を好きじゃないんだろう。
…学生の頃、単純にそれを矛盾化させていたのを思い出す。
作家となった30歳の相原が久しぶりに故郷の母校を訪れる。
向井理が演じているのだが、相変らず口ベタで人間恐怖症の
ような性格が面白く、再会した先輩の彼女ともぎこちない。
彼がどうしても聞きたかった「あること」が明かされる後半、
絶対そうだろうと思っていたことが、やっぱり当たっていた。
…オンナをなめんなよ。(自分でも、あぁ怖い)
満面の笑みで「幸せ!」と言い切る女の業に凄味すら感じる。
同級生に同じような結末を手にした子がいたのを思い出す…
卒業してしまえば、もう誰とも逢うことなく大人になった、
この辺の描き方も秀逸で、主人公なりの歩みが感じとれる。
懐かしく思い出せるようになったのは歳をとって成長した証。
(やや鼻づまりの声が気になった早見。あの髪形はどうなの^^;)