「静かに命の尊厳を見つめる作品」母の身終い シーナマサヨシさんの映画レビュー(感想・評価)
静かに命の尊厳を見つめる作品
ある中年の気持ちに素直になることのできない不器用な男と、命の限られた少し口うるさくこちらも不器用な老いた母親。
母は自分の病が治る見込みがなく、最期の時まであまり時間がないことを知り、尊厳死の道を選ぶ。
そうした中で、なかなか心を通わせることができない親子の衝突とすれ違いと焦燥感を、静かに捉え続ける。
何気ないカット、穏やかな長回し、すべての答え合わせと辻褄合わせをあえてしないリアリティー、終わりではない終わり。
誰もが直面する可能性のある重い問題を、静かに、真正面から、何も押し付けることなく描いた、フランス映画らしい作品。
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