「自虐的でも余裕の海老蔵と待ったなしのコウ」喰女 クイメ しんざんさんの映画レビュー(感想・評価)
自虐的でも余裕の海老蔵と待ったなしのコウ
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本作の舞台劇の「四谷怪談」とそれらを演じる役者たちの私生活を平行に展開し、それぞれの世界に影響を与えていく、というスタイルは決して新しいものではなく、むしろ使い古された手法。
幻想的な舞台パートと逆に現実パートの緩さがある意味、どこかふざける三池らしくはある。
とにかく現実パートがもうダメすぎて、むしろ笑える。海老蔵の現代劇の大根ぶりは今日に始まったわけではないが。柴咲コウのひどさは改めてすごいと思う。
それが舞台劇パートに影響し、柴咲がしゃべればしゃべるほど笑けてくるという、もう、「わざとか?」の世界観を見せてくれる。
柴咲は全盛期歌に流れ、演技がガタガタのまま、今に至り、年齢的にも脱皮の時期だが、待ったなしの境遇でもある。
本来その待ったなし感が、お岩のその境遇とリンクしなければいけないはず、いや、それこそ柴咲の起用の最大のポイントだと思うのだが、そうなっていない。この映画の最大の欠陥は柴咲。見た目の美しさを壊せば、演技をした、とでも思っているのか。
もっと死ぬ気でやれよ、といいたい。
一方の海老蔵は、これはもう言うまでもなく、自虐的ギャグだよね。現実パートの、演技ダメダメ感も意図的すら思える。
意外と世間の目を気にする歌舞伎役者だが、これはこれで面白い立ち回りだと思う。
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