「また柴咲コウが怖くなる。」喰女 クイメ mg599さんの映画レビュー(感想・評価)
また柴咲コウが怖くなる。
年に2本も3本も撮る三池崇史監督の新作は、いつもながら挑戦的な作品になった。
舞台で「四谷怪談」を上演することになった俳優たちの愛憎が描かれる。
舞台で演じられる怪談と、現実のシーンのリンクが怖さを際立たせる。
「四谷怪談」の伊右衛門は、自らが出世するためにお岩が邪魔な存在になる。宅悦をお岩にあてがうのもその一環である。まあ身勝手であるが、伊右衛門なりの筋は通っている。理をもって筋を話せばお岩はわかってくれたかもしれない。
現実の浩介は弁解の余地もない。若い女優に走ってもなんら得なことはない。ただの欲求でしかない。
ただ、美雪の勘がよすぎる。これでは男はつらい。
とまあ、山岸きくみの脚本は穴だらけなのだが、それでもなお奇妙な説得力をもつ。三池崇史の演出だけでは説明のつかない何かがある。
その何かに、柴咲コウが感応している。
見事に柴咲コウの映画になっていて、彼女の新しいキャリアの始まりである。
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